キャブレターの整備と改造

キャブレターにガタが出た。

勢い余って改造してしまった。

 

DRのエンジンが低速でモタつくようになり、とりあえずキャブレターを外して開けてみるとピストンバルブにガタを発見。

DRのキャブは吸入負圧で動作するピストンバルブを持つタイプのもの。

そのピストンバルブが長年上下動を繰り返すうちに、ガイドと擦れあって磨耗したようです。

その影響かどうか分かりませんが、ニードルも磨耗した跡があります。

磨耗跡を調べると丁度スロットルの開け始め付近です。

磨耗して細くなった分ガソリンが濃くなってエンジンが息つくのでしょうか。

ニードルの形状はとてもシビアなもので、太さやテーパー加減でセッティングが変わってしまいます。

微妙であっても一部分だけ磨耗しているのであれば、充分不調の原因と考えられるでしょう。

ニードルだけでも部品購入できるのですが、ニードルが磨耗しているということは

相手側も磨耗している可能性が高いのでニードルとニードルジェットの両方を交換してみることにしました。

ニードルはピストンバルブに付いているのでキャブレターを分解していくと自然に外れます。

問題はニードルジェットの方。

ネジ込んであるわけでもないし、どうやって外すんだ?

実は差し込んであるだけなんです。バイク屋さんが教えてくれました。

ミクニのスリングショットキャブの場合は下側(フロート室側)から叩いて抜きます。

キャブ本体を傷めない様に、ニードルジェットのメインジェット用のネジ穴に

M5の長めのボルトをねじ込んで軽く叩きます(画像右側)。

差し込んであるだけなので、軽く叩くだけで外れました。

しかし儲けにならないのに整備の仕方まで教えてくれて良いのか?<バイク屋さん

 

外れたパーツ。

上の白い物がピストンバルブのスライドガイド。

これが磨耗してピストンバルブにガタつきが生じてます。

金色の細長い物がニードルジェット。

画像では置き間違えてニードルジェットが上下逆さまになってます。

掃除したつもりでしたが、かなり汚れてます。

重要な所だし、分解清掃する時はここまで分解しないといけないんですね。

下の細い棒がニードル。

画像では分かりませんが、微妙に磨耗してます。

 

白い樹脂製のピストンバルブガイドが磨耗しているがはっきり分かります。

以前からキャブを分解すると白っぽい粉が出てくるので変だなぁと思っていたのですが、

どうもガイドの削りカスのようです。

このガイド、簡単に外せるのに部品として販売されていません。

ピストンバルブのガタを直そうとするとキャブレター本体ごと交換することになってしまいます。

当然そんなお金がある訳ないので、我慢して使います。

ちなみにこのガイド、ガイドの左右(ピストンバルブが当たる部分)で減りが違います。

おそらくシングルエンジンでツインキャブのため、中央寄りにある吸気ポートに向かって引き寄せられると

右のキャブは左に、左のキャブは右に向かって吸い寄せられる力が掛かるためではないか?という見解。

ビッグシングルの吸気は想像以上に過酷な状況なのかも。

とりあえずニードルとホルダーだけでも正常な状態にすることで、改善される事を祈るしかありません。

 

ついでにモディファイ

キャブのガタを直せない。ショックのあまり取り乱して半ばヤケクソでピストンバルブの穴を広げてみました。

なぜ穴かというと・・・

DRのキャブレターは負圧動作タイプというのは書きましたが、このタイプのキャブレターはアクセルと連動する

スロットルバルブが開いてから負圧動作するピストンバルブが開くので、ラフなスロットル操作をしてもスムーズに回転するため

急激な反応が無くて扱いやすい半面、スロットル操作に対してのダイレクト感は損なわれます。

そこでピストンバルブ部分の穴を大きくしてやり、負圧変化に対するピストンバルブのレスポンスを上げてやろうという考え。

キャブレターのチューンキットで名の知れたダイノジェットも、確かピストンバルブの穴を大きくし、

リターンスプリングを弱い物に変更してスロットルレスポンスを向上させていたような気がします。

穴だけ大きくしてまともに動作するのか自信がありませんが、どうせまともなキャブじゃないし、

ダメもとでやってみましょう。

ただしこのピストンバルブ、結構高い部品です(4〜5000円ほど×キャブ個数)。

失敗するとバカにならない出費になるので、行う時は自己責任で。

これが負圧で上下するピストンバルブ(底から見た図)。

矢印の穴(左右2ヶ所)が負圧用の通路です。

本来2mmほどの径だった穴を、4.2mmに広げました。

ちょっとやり過ぎたかな?

ピストンバルブは硬めの樹脂製なので、簡単に穴があきます。

中央の穴はニードルが収まる所。

 

上画像のピストンバルブを収めるとこうなる。

果たしてまともに動作するんだろうか?

結果

組み立ててエンジンを始動させると、難なくかかりました。とりあえず一安心。

問題は走ったらどうなるか?なんと走行してみると明らかな違いを感じます。

変化した点

○ 低速のモタツキ(2000回転強付近)解消。

○ 2500回転付近のトルクの谷間が無くなった。

○ 低速トルクが増した感じ。

○ 回転上昇がスムーズ。

ピストンバルブにバカみたいな穴を空けたのに、意外にちゃんと走るんだ。

ピストンバルブを買い直すハメにならなくて良かった。

エンジンも混合気が綺麗に燃焼しているような感じがします。

あぁDRのエンジンって本来はこういうものだったんだ。ちょっと感動。

今までサイレンサーのせいだと思っていたトルクの谷間は、キャブレターの不調だったのか。

街乗り等で低めで変速すると丁度その付近に掛かってしまいスムーズさに欠けて不快だったんですが、

今はとてもフラットな感じで、しかも上までスムーズに気持ち良くつながります。

モタツキのお陰で発進時にエンストしそうで気を使いましたが、それも改善されました。

回転上昇がスムーズになったおかげで急加速もストレスがありません。

またまたファンライドなバイクになりました<それが普通なんじゃ?

ともあれ、調子が良いので走るのがとても楽しくなります。

しかし今回は同時にいくつもの作業をしたので、一体どの作業でどういう効果が現れたのかハッキリしません。

とりあえず快調になったので私としては大満足ですが、あまり参考にはなりませんね。

それから、既に5万kmを突破したDR、エンジンのコンディションが気になっていたのですが、

吸気ポートから覗いて見た限りではバルブ周りは綺麗でした。

5万km程度で異常が出るような物でもないかもしれませんが、案外タフなエンジンなのかもしれません。

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