やるときゃやってもダメだった

DR800Sのエンジン再修理

04年11月

やっとの事で終えたエンジンのOH。

の、はずだったのに?

 

約2年越しで修理してきたDRのエンジン。さぁこれからどんどん走るよ。生まれ変わったDRで、僕ぁ走るよ。という時になって、またもや煙を吐きました。エンジンを始動すると、モーモーたる白煙が。119番通報されやしないかと思うくらいの、もう尋常じゃない白煙が。何とかならないか考えてみましたが、あの尋常ではない煙を見ると、やっぱり降ろして直さないといけませんよね。とほほー・・_| ̄|○ 

バイク屋さんの意見を参考に、エンジンを降ろしてしまう前に、まずタペットカバーとエキパイ部分からバルブ周りを点検してみる事に。しかしDRの場合、タンクとエキパイを外すだけでも結構な手間ですよ。その割にタペットカバーからはバルブスプリングが邪魔で、問題のバルブステムシールが見えません。エキパイ部分からバルブステムを見た感じでは異常は無さそうです。SRXの時もそうでしたが、吸気バルブ側に問題が有るようです。やっぱ降ろさないとダメみたいですね。

仕方ないのでエンジンを降ろし、ヘッドカバーを開けてみます。見た感じ、やっぱりバルブ周りに異常は無さそうです。見た目で不具合が分かるなら、そりゃもう致命的だとは思いますが。シリンダーヘッドを外すと、排気バルブ側は異常無いものの、確かに吸気バルブ側がオイルで湿っていて、ピストンの上にもオイルが溜まっています。確認しながらバルブを分解するものの、見た目で分かる様な疑わしきバルブステムシールの組み付け不良や、シール部の損傷などは確認出来ません。バルブステム側にも傷や断付き磨耗も見当たりません。一体何故!?私の何がいけないって言うのよ!うきー!

問題のバルブステムシール。

見た目は異常無いのですが、シールってかなりシビアな物なので

見た目で分かる様では致命的というか終わってますけど。

外したバルブ周り。

吸気側(画像右寄りの2つ)が、明らかにオイリー。

しっとり艶やかなのは女性のお肌だけで充分です。

これで吸気バルブ側のオイル下がりである事は明白。

こうなったら開き直って聞きましょう。恥も外聞も無く識者に泣き付き、所構わず聞いた結果、疑わしい原因として、

1 バルブステムシールの組み損ないなんじゃないの?

2 バルブの磨耗などによる異常なんじゃないの?

3 バルブの頭(タペット当り面)にバリが出てない?

4 例外的に、バルブガイドとシリンダヘッドのはめ合い部で漏れなんて事も

などが挙げられました。

そんな事を参考にサービスマニュアルを見直すと、DRの場合、バルブステムの消耗具合はバルブをバルブガイドに収めた状態でのガタつきを測定して判断しろと書いてありました。バルブステムが磨耗してるなら、バルブガイドも磨耗しているでしょうから、当然と言えば当然ですね。そこでガタを測定しましたが、使用限界値を超えるほどのガタは有りません。消耗しているものの、使えない程傷んでるという訳でもなさそうです。もう一度バルブをよく見てみると、コッタがはまる溝の上にバリの様な段つきがありました。コッタの跡でもなさそうだし、コレが何なんだか良く分かりませんが、バルブを組み付ける際にシールを傷めた可能性も有ります。このバリの様なものを綺麗にして組み直そうかと思ったのですが、吸気バルブのステム部分に妙な跡が有るのをバイク屋さんに指摘されました。ガタが大きくなって偏磨耗してるのでしょうか。一応気にはなりつつも、金掛かりそうだし。面倒だし。このまま見なかった事に・・と逃避していた所を鋭く指摘され、思わず「吸気バルブ下さい」と注文してしまいました。でもバルブだけ。しかも吸気側だけ。ガイドはそのまま使います。

バルブの先端部分に妙な跡が有ります。

指で触ると微妙に引っ掛かりが有るので、

細かいペーパーで磨いておきます。

なお、新品のバルブにも見られるものなので、

製造過程で出来るモノなんでしょうか。

もう一度サービスマニュアルを良く見てみると、バルブステムシールを組み付ける際、特殊工具を使用しています。バルブステムガイドを打ち込む特殊工具にアタッチメントを取り付けて、バルブステムシールを組み込む様です。うなぎさんからも、やはりシールを組む時に道具を使うというアドバイスを頂いたので、作ってみました。道具と言ってもφ12mm位の穴を開けただけのパイプですが。正式な特殊工具にはガイド(センターにφ7mm程の棒が出ていて、バルブステムガイドの穴部分に挿入することで正確に芯を出すものと思われます)が有るのですが、そこまでは作れませんので只のパイプです。でも単なる手作業よりは確実な作業が出来ると思います。

ハンドメイド バルブステムシール インストーラー。

略して、ハメバイン。

オーラバトラーみたいですが、内径φ12mmの穴を空けただけの鉄棒。

これでステムシールの外側にある金属外皮部分を押して挿入します。

端のナットは作業しやすいようにする為なので、別に無くてもOK牧場。

シールを組んで、バルブを組みます。吸気バルブは新品を使いましたが、新品をバルブガイドに収めると、あれれ、意外にも使い古しのバルブとガタつき具合が変わりません。マイクロメーターでステム径を測って見ると、新品と古いバルブでは約0.01mmの差。これはバルブガイドの方が磨耗してるって事でしょうか。ガイド交換するの大変だなー。気付かなかった事にしよっと。

バルブを組み立てる時に、以前はマイクロロン・アセンブリルブリカントを塗っていたのですが、今回は普通のモリブデングリスにしておきます。初期潤滑の為に高度な潤滑剤を使いたいのですが、もしかしてもしかすると、このアセンブリルブリカントには、ゴムを侵す成分が含まれていているかもしれません。説明書にもその辺りの事が明記されていないので、安全の為なんだけど安全の為に、バルブの組み付けには使わない事にします。

バルブを組んで、ヘッドを組んで、タペット調整を済ませたら、カムシャフトのカム山部分にあるオイルチャンバーにエンジンオイルを満たしておきます。オイル分が無くなってドライスタート状態になるはずですから、なるべくダメージを受けないようにするため。タペット調整はエンジンを載せる前に済ませておくと、邪魔物が無いので楽です。

エンジンを載せて、ハンガーボルトで締結。ハンガーボルトには薄くグリスを塗って錆による固着を防ぎます。通常はそうそうエンジンの脱着は行なわないはずなので、次回ハンガーボルトを取り外すまでのスパンはかなり長期間になるはずです。特にフレームの前方やダウンチューブ部分に有るボルトは、前輪の跳ね上げにより錆びやすいので注意した方が良いです。エンジンを載せた後、外した部品を元に戻してとりあえず完了。前回の失敗も有る事だし、動作確認をするまではフロントカウルを付けるのはやめておきましょう。ちょっと逃げ腰ですが、DR−BIGのカウルの脱着、面倒なんだよね。

始動してみると、すんなりとエンジンが掛かりました。煙は出ますが、これは以前の不具合でシリンダー内に残っていたオイルのせいでしょう。その後、3回ほど走りましたが、煙はほとんど出ません。始動後に僅かに白煙が見えますが、ほら、最近寒いからね。きっと水蒸気だよ。始動直後は水蒸気がよく出るからね。

 

¥¥¥今回の出費¥¥¥

09289-07002 オイルシール(バルブステム) @520×4

12747-44B00 ワッシャ(カムスプロケ ロック用) 220

09282-10014 オイルシール(デコンプ)      390

12911-44B00 インテークバルブ       @3,000×2

送料 1,500円くらい

税   435円くらい

計  10,600円くらい

 

明細が無いので、バルブの価格が曖昧です。多分3千円くらい。部品を注文する際は、自分で必ず部品番号、価格を確かめてください。純正部品は、注文を間違えても返品出来ないので、念入りな確認が必要です。

なぜかつづく

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