フロントブレーキOH

06年4月

エンジンも直し、フロントフォークも直し、今度こそガシガシ走るよ。

ガシガシ走るために、まずブレーキを整備するよ。

って、また整備かよ。

 

久しぶりの更新です。色々整備スケジュールは有ったんですが、なんせ今年の冬は寒かった。まともにバイクなんて乗れないし、屋外で整備なんて出来たもんじゃないし、春を待つしかなかったのです(ちょっとウソ)。

さて、ようやく走るようにはなりましたが、ブレーキのタッチが悪いです。DRは元々タッチが良くないみたいですが、それにしても悪いです。キャリパーを外してメンテナンスしてみると、キャリパーピストンのダストシールがめくれ出てきています。一度きちんと分解整備した方が良さそうです。キャリパーを分解するなら、ついでにマスターシリンダー側(ブレーキレバーついている所)も整備することにします。

作業

作業自体はそれほど難しいものではありません。ただ、分解するので当然ブレーキフルードが出てきます。ブレーキフルードは、車体に付着すると塗装が変色したり剥げたりするそうなので、今回はマスターシリンダー側も分解することもあり、作業をしやすくするためにブレーキASSYを車体から取り外します。取り外すにはブレーキホースのガイドも外さないといけないのですが、ガイドはフロントフォークのクランプ部分と共締めになっているので注意が必要。上下とも同時に外すとフォークがズレます。片方ずつ外しましょう。マスター側のレバー等を外せば、フロントフォークとホイール(スポーク)の間を何とか通りますので、ホイールまで外す必要はありません。

車体から取り外したフロントブレーキ。

フルードがこぼれるので作業がしにくいし、

ブレーキローターなどに付着すると問題なので

完全に取り外してしまいます。

ブレーキキャリパーの分解整備

まずはキャリパー側から。ピストンシールを交換するのですから、当然ピストンを抜かなければいけません。マニュアルや整備書などではエアーガンを使い、圧縮空気でピストンを抜いていますが、エアーツールを使うのも面倒なので、フルードを抜いてしまう前にレバーを動かして2つのピストンをなるべく均等に押し出していきます。最後は手で引っ張れば、比較的簡単にピストンが抜けてきます。

ピストンを抜いたら、古いダストシール、ピストンシールを外して、シールが収まる溝の部分を綺麗に掃除します。ダストシール(外側にある細い方)の溝が、かなり汚れています。この汚れがシールのめくれの原因になっていたのでしょうか。異物をキャリパー内部に残さないように注意して掃除します。ピストンも露出していた部分にブレーキカスが付着しているので掃除しておきます。

掃除が終わったら、新しいシールを取り付けます。が、何だかダストシールが溝に対して細過ぎる様な気が。随分とガタがありますが、古いシールも同じサイズなので部品が間違っているようでもなさそうです。これでは溝にゴミが溜まるのも無理はない気がしますが、こんなものでしょうか。ダストシールは細くてフニャフニャだし、シールが収まる溝もガタが有るのでは、ダストシールがめくれ出てしまうのも無理は無いかも。

シールを組んで、ピストンを挿入するのですが、シールもピストンも新しい綺麗なフルードを充分になじませてから組み立てます。シールに不要なストレスを掛けずにスムーズに組み立てる為です。

マスターシリンダーの分解整備

次にマスターシリンダー。こちらも大して複雑な物ではありませんが、1つだけ問題が。マスターシリンダーを分解するには、「スナップリングプライヤー」(下記参照)が必要だということ。スナップリングプライヤーを使っても、スナップリングが奥まった所に有ってプライヤーの先端がリングに届かず、作業が困難です。四苦八苦していたら、分かりました。ピストンを押し縮めれば作業スペースが出来るし、ピストンのくびれ部分でスナップリングを縮めるだけの余裕が出来るんですね。1人でピストンを押し縮めながらスナップリングを外さなくてはいけないので、それはそれで困難なんですが、両足の膝でマスターシリンダーを挟み、適当なドライバーでピストンを押し込みながらリングを外しました。ズボンが少し汚れちゃいましたが、奥さんには内緒にして先を急ぎましょう。

分解したマスターシリンダー。

バネとピストンが入ってるだけ。

それをスナップリング(画像下の視力検査マークみたいな形のリング)で留めています。

新しいパーツに新しいフルードを塗布して組みます。

スプリングは先細りした方が外側です。

組み立ては、分解よりは優しいですね。

 

スナップリング プライヤー

スナップリングを取り付けたり取り外したりする為の工具。ラジオペンチの先端にとても細い棒が付いている様な感じ。一般的な工具ですが、バイクの整備ではそれほど頻繁には使いません。スナップリングは軸用と穴用の2種類が有って、軸用は広げる方向に、穴用は縮める方向にプライヤーが作用しなければいけません(今回のマスターシリンダーは穴用)。つまり、使われているリングによって2種類のプライヤーを使い分けなければならないという訳です。更にリングを掴むための穴の大きさはスナップリングのサイズによって異なるため、それに合わせてプライヤーの先端部分も数種類必要になってきます。そうすると、様々なスナップリングに対応するためには幾つものプライヤーが必要になってしまいます。そこで、軸用/穴用の切り替えが可能で、しかも先端部分を交換出来るマルチなプライヤーも市販されているんですね。ですが、このマルチなスナップリングプライヤー、一見完璧な優れものに思えるかもしれませんが、実はマルチ故に使いにくかったりします。取替え、切り替えが出来る反面、構造的にガタが生じやすくてダイレクト感が乏しく、繊細な作業には向きません。そう頻繁に使うものではないので無理に良い物を買う必要もありませんが、軸用穴用の切り替えが出来るタイプは、なるべくなら使いたくないというのが本音。

偉そうな事言っておきながら、ウチのスナップリングプライヤーはマルチタイプ。

バイク用品店で1200円くらいで購入した物。安さには勝てません。

軸用にも穴用にも対応し、先端の太さも2種類あって、しかもL型に曲がった先端も同梱。

これで万能、という気がしますが、結合部分にガタが多くて作業しにくいです。

コレは安物ですが、会社でもきちんとしたメーカーのマルチタイプを使う事が有るけど

やはりガタが有って使いにくいので僕は軸穴兼用タイプは嫌いです。

とは言うものの、いくら良い物を買っても使わないんじゃ意味が無い。

10年位前に買って今回初めて使うという低頻度と

これでも作業が出来ない訳じゃないので

別にリングさえ外せれば何でも良いっちゃ何でも良いんですけどね。

さて、スナップリングが本題ではありません。今回の作業で一番の問題は、組み立て後のフルードのエア抜きです。ブレーキASSYを車体につけて、フルードを注ぎながら、ホースやキャリパー、マスターシリンダー内部に入ったエアーを抜かなければいけません。エアーが入った状態では、ブレーキレバーを握ってもフニャフニャで手ごたえが無くブレーキが効きません。レバーを握って、キャリパーのエア抜きブリーザーを緩めて抜く。レバーを小刻みに動かしてマスターシリンダーのエアーを抜く。レバーのタッチがしっかりするまで延々それを繰り返します。

キャリパーもマスターシリンダーもリフレッシュした今回の作業、さぞかしレバーのタッチもしっかりとしたものに変貌したことでしょう。と、思ったら、意外にあんまり変わっていません。まだエアーが残っているのか、元々DRのブレーキなんてこんなものなのか ・ ・ ・ 。いっそのことCRMのブレーキASSYと交換してしまえば良かった、と思わなくもないような。車重の有るDRですから、ブレーキは余裕の有るものが欲しいですね。完全整備で改善されなければ、モディファイも検討せなばなりません。

 

今回の出費

59107-27A10 ピストンシール  @410×2 820

59108-27A10 ワイパシール   @410×2 820

09161-10009 ワッシャー     @70×4 280

59600-45850 ピストン&カップセット  2,200

59667-44B00 ダイヤフラム        450

送料                   600

代引き手数料               300

ブレーキフルード カストロールDOT4 1,580

計                   7,050

 

ピストンは2個なので、シール、ダストシールは2個づつ必要。ワッシャーは、ブレーキホースのバンジョー部(ホース接続部)のガスケット。今回ホースまでは分解しなかったので使っていません。ピストン&カップセットは、マスターシリンダーの内部パーツ。長期間整備されていないでしょうから、アッセンブリーで交換します。ダイヤフラムはマスターシリンダーのリザーブタンク部分の物。これも変形しているので交換しておきます。

部品番号は変わる場合があります。価格も毎年改定されます。僕が番号を書き間違える可能性も非常に高いです。ですから、純正部品を購入する際は、部品番号と価格を必ずご自分で確認して下さい。ここに記載されている情報はあくまで参考であり、これらにより被害を被っても、一切責任を負いません。 

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