こんにちは

2002年8月

廃車にしてしまったDR750Sの代わりに、新たなDRを手に入れた。

 

残念なことに大切にしていたDR750Sを事故で廃車にしてしまいました。

フレームにダメージを受け、フレーム修正したものの完全には直らなかったのです。

廃車にする前に再度フレーム修正をするとか、部品取車を手に入れて移植するとか、まだ手は残されているのですが

簡単に諦めたのには訳があります。

1つはフレーム修正できちんと直すには、技術の確かな業者を選び、かなりの手間と費用を掛けなければならないと思われること。

しかもそれでも完全に直せるという保証はありません。

そしてもう1つ、「DRを譲ってもいいよ」という話が舞い込んだこと。

しかも私の希望する前期型(1990年モデル)。値段も破格。

今まで愛用してきたDRには大変申し訳ないですが、乗り換える方が確実だし、

しかもグレードアップが期待できるとくれば即飛びつくのも仕方ないでしょう。

 

今まで前オーナーが通勤等に使っていたという新たなDR。

外観は前のDRよりも綺麗だし、走行距離は7万kmとかなり走ってはいますが1度OHしているらしくエンジンも静かです。

さっそく各部の整備をします。前のDRから使える部分は利用します。

希望する整備内容はこんな感じ↓。

 

タイヤ交換(前後)

ハンドルバー交換

センタースタンド取り付け

エンジンオイル+フィルター交換(Oリング含む)

ブレーキキャリパー清掃(前後)

ブレーキフルード交換(前後)

キャブレター清掃

エアーフィルター交換

スパークプラグ交換

フォークオイル交換

リヤサス可動部(リンク、スイングアームピボット)グリスアップ

リヤサスペンションユニット交換

ステアリングステムグリスアップ

ワイヤー類(アクセル、クラッチ、デコンプ)潤滑

その他

 

今まで走っていたバイクなので、走行に支障があるような重大なトラブルは考え難いですが、

大抵の場合手放すことを考える時点でマメに整備する人はほとんど居ないはず。

加えて、前オーナーさんは多忙な人だった事も考えると、乗りっぱなしの状態と考えるのが自然でしょう。

そんな訳で一度完全整備するに越した事はありませんが、そんなことやってると冬になりそうです。

そこまで時間を掛けてられないので、とりあえず必要最低限の整備をし、

あとは走りながら様子を見て徐々に整備をしていく事にします。

そこで絞った整備内容はこんな感じ↓。

 

タイヤ交換(前後)

フロントリム交換

センタースタンド取り付け

フロントブレーキパッド交換

ブレーキキャリパー清掃(前後)

ハンドルバー交換

エンジンオイル+フィルター交換(Oリング含む)

 

タイヤは旧DRのフロントタイヤが新品なのと、オフ寄りのタイヤが付いていたので、新DRに付け替えます。

旧DRのフロントホイールにはRKエクセルの新品のリムと新品のハブ、ブレーキローターが付いているので、これも移します。

残念ながらリヤは88年式と90年式では互換性が無いので、リヤのRKエクセル・リムは利用できません。

センタースタンドを旧DRから移します。これは整備には必須。日本では販売されてない物だけにハズせません。

ハンドルバーは旧DRにレンサルのアルミハンドルを使用していたので、これも移します。

オイルは支障ないかもしれませんが、いつ頃どんなオイルを使ったのか分からないので念のため交換。

同じくフィルターもいつ交換したか分からないので交換。

フロントのブレーキパッドは旧DRに新品がついていたので移します。

ブレーキローターが新品なので、パッドも新品にしないとマズいというのもあります。

パッドを交換するついでに、キャリパーも適当に掃除しておきましょう。

 

さて、まずはタイヤから。

旧DRのフロントには新品のピレリMT21、リヤには8部山の同じくピレリのMT21が付いてます。

これを新DRに移すのですが、新DRにはまだ結構溝が残っているミシュランのシラクがついてます。

オン/オフタイヤではありますが、廃車にするDRに程度の良いシラクをつけるのも勿体無いので

ウチに転がっていた廃タイヤをつけときましょう。おぉ、廃タイヤも役に立つじゃん。

しかしそうすると、

旧DRのFホイールを外し、新DRのFホイールと交換→旧DRのFタイヤを外す→旧DRのFに廃タイヤを付ける

旧DRのリヤのピレリを外し、廃タイヤを付ける→新DRのリヤのシラクを外し、先に外したピレリを付ける

という作業を行わなければなりません。つまり、間夏のこのクソ暑い中でタイヤ交換×3回(-_-;)

フロントリムの交換はどうせタイヤ交換でリムを外すので問題無し。

ただし新しいDRにはセンタースタンドが無いので、フロントを浮かせるのも一苦労。

センタースタンドの有り難味を実感する瞬間。

さて、一通りタイヤの付け替えを終えて見ると、何故か新DRのフロントタイヤが右(反ブレーキ側)に寄っています。

おかしい。パーツリストでハブ、ブレーキローター、アクスルのカラー、メーターケーブル取り出し部は

88年式と90年式で同じ物だと確認したはずなのに。

よく見ると若干アクスルカラーの長さが違うようです。何故だ!?パーツリストでは同じなのに!?

ハテナ?が頭一杯状態ですが、フロントタイヤがズレた状態では走行に支障があります。

そこで慌ててフロントホイールを元に戻す。

旧DRのピレリを外す→新DRの廃タイヤを外す→旧DRに廃タイヤを付ける→新DRにピレリを付ける

しかしRKのリムはともかく、旧DRのFホイールに組まれた新品のBRAKINGのブレーキローターは惜しい。

そこでローターを旧DRのホイールから新DRのホイールに移します。

それを車体に組み付けると・・・元々付いていたホイールを組んでもやっぱり右に寄ってるじゃん!( ̄◇ ̄;)

よくよく見ると、ホイールが偏っているのではなく、フェンダーが左に歪んでました( ̄◇ ̄;;)

ううぅ、慌ててタイヤ交換せずに、まずはホイールを組んで確認すべきだった。

で、やっぱり新品のRKリム(ハブもベアリングも新品だし)が惜しいので、またもや

旧DRの廃タイヤを外す→新DRのピレリを外す→旧DRにピレリを付ける→新DRに廃タイヤを付ける

しかもご丁寧に、先ほど交換したブレーキローターも元に戻します。もう何が何だか良くわかりませんね。

さてここで問題です。こときちは一体何回タイヤ交換をしたでしょうか?(泣)

くぅ〜、時間も無いのに何やってんだオレ!?

「こときちの整備にトホホ有り」のジンクスは、またもや破られることはありませんでした。

これに騙された。

どう見ても右(向かって左)に寄ってるように見えるでしょ?

 

ヘロヘロになりつつ、フロントリムを外したついでにキャリパーの様子も見てみます。

結構汚れているので、パッドを替えるついでにピストン側面にシリコングリスを塗ってスムーズな動作を・・・

と思ったら、ピストンシール(ダストシール)がめくれ出てきました( ̄◇ ̄;)

今さらどうあがいてもめくれ上がったシールは元に収まりません。

うっ!キャリパーのオーバーホールまでは予定してなかったのに! もうどうにでもしてぇ〜♪\(´ー`)/

仕方ない。これはキャリパーOHでシールの交換。どうせ前のDRも調子悪かったし(泣)

気を取り直して、センタースタンドを取り付けます。これは簡単。ステップに共締めするだけです。

年式によってはステップの固定ボルトに強力なネジロック(緩み止め剤)が塗布してあり、

ボルトを外すのが困難なケースもあるようですが、今回は問題なく外れました。

シールの注文のついでにオイルフィルターや今後行うであろうキャブ清掃に使うパッキン類を注文。

その間にマスターシリンダーのキャップを外して様子を見ようと思ったら、ネジが緩まない。

あぁ、ありがちなんだよね、このネジが緩まないっての。

今までも幾度か緩まずに困った事があったから、旧DRのマスターシリンダーのフタのネジは

ステンレスの皿ビスに交換し、あまり強く締め付けないようにしておいたんです。

そうは言ってもネジを取らないと作業も出来ません。何とか緩めようとするものの、ナメそうな感触。

こういう時はCRC5−56やラスペネなどの浸透性潤滑剤をたっぷり吹き付けてしばらく放置するのがセオリーと思うんですが、

早朝の作業だったせいか血迷っていきなり最終兵器(インパクトドライバー)を取り出す私。

インパクトドライバーとは、叩いた衝撃でビット(ドライバー部)をネジに対して押し付けると同時に回転力に変換するという、

固着したネジを緩める為の便利なツール。

一見超優れ物ツールのような気がしますが、今までの経験上自分の手で緩める事が出来なかったネジを

インパクトドライバーで緩めることが出来た試しはほとんどありません(笑)。

で、やっぱりネジ山をナメちゃいました。皿ビスなので、ネジ頭部を掴んで回すことも出来ません。

でもインパクトを持ち出す時点でナメる事は予想済み。5mmくらいのドリルで皿ビスの頭を削ります。

皿の部分が取れれば、少なくともキャップは取れるはず。

キャップが取れれば残りのネジ部には張力が掛からないので、固着していなければ残った部分も簡単に取り除くことが出来ます。

仮にキャップにダメージを与えてしまっても、旧DRのキャップを使えば良いし、その点気が楽です。

しかし何故こんなにバカみたいに締めるんだろう。フレードが漏れない程度に締まってれば良いのでは?

それ程までに締め付けなければいけない個所なら、プラスネジは使わないで欲しいよね。

この皿ビス(+ネジ)が曲者なんだよね。

ステンレス製にするのは錆びて+穴が傷まないようにする為。

ステンは普通の鉄ネジよりも硬いので、ナメてしまうと除去するのが困難。

六角穴付ボルトにすると無難な気もしますが、小さな六角穴は簡単にナメる危険性もあるので注意が必要。

ネジ1個にあれこれ悩むのもバカバカしいですが、まぁそれも楽しみということで。

アホほど締めるとブリーザー(息抜き用の通路。フタの裏側を見るとスリットが入ってるのが分かります。)も

塞ぎかねないので、適度な締め付けに留めておいた方がよろしいかと。

 

注文した部品が届いたので、センタースタンドでフロントを浮かし、

ブレーキフルードでローターを汚さないようにFホイールを取り外し、

キャリパーを洗浄、ピストンを抜き取り、ピストン側面に付着した汚れを綺麗に掃除します。

キャリパーのシールが収まる溝にゴミが溜まっているので、それを掃除。

ブレーキフルードを塗布して新品のシールを組み、同じくフルードを塗布したピストンを

シールがよじれないようにまっすぐ慎重に収めます。

ここまでは簡単ですが、厄介なのはブレーキラインのエア抜き。

お手製バキュームを駆使してキャリパーのブリーザーからエアーとフルードを一気に抜き取る。

後はお約束のレバーをにぎにぎしてエアー抜きしますが、どうもカチッとしたレバータッチが得られません。

元々こんなものだったかなぁ。まぁ一応ブレーキ効くから良いか。

次いでリヤブレーキキャリパーも掃除。

旧DRの88年式はリヤがドラムブレーキですが、新DRの90年式はディスクブレーキです(89年から)。

フロントがこんな状態ですから、リヤも気をつけなければいけません。

ピストン側面の汚れを掃除し、シリコングリスで潤滑しながら慎重にピストンを沈めていきます。

ブレーキペダルをキコキコ動かしながらピストンを出し、再度シリコングリスを薄く塗布して出し入れします。

今回はシールを変形させることなく、スムーズな動作をするようになりました。よしよし。

ピストンはスムーズに動くようになりましたが、パッドのハンガーピンが磨耗してます。

それと、ブレーキペダルとリヤのマスターシリンダーの接続部も磨耗して、穴が楕円になってます。

7万kmも走れば、そりゃ磨耗もするでしょう。これは今後交換するということで。

次に取り掛かるのはハンドルバー。新しいDRには純正の鉄ハンドルが付いてます。

これはこれで形状も良いのですが、鉄パイプなのでコケると必ず曲がります。

コケない自信の無い私は社外のアルミハンドルバーが必須。

前DRにはレンサルのアルミバーが付いているので、それと付け替えます。

DRのクラッチホルダーはクランプ部が分割式ではないので、ハンドルバーの端から抜かなければならず面倒。

そのうち他の車種のレバー&ホルダーに交換しようと思いつつ、そのままになってました。

純正のバーは直線部分が長いので、社外品にするとデコンプレバーのホルダーが追いやられてしまいます。

この辺も何とかしなければいけない所。

レンサルのアルミバー。

形状は色々ありますが、まぁ見慣れた感じではないでしょうか。

赤い車体に赤いハンドルバーってのもオシャレかもしれませんが、EDシリーズには無かったような気が。

デコンプレバーホルダーがギリギリまで追いやられてるのが分かるかな?

で、これが純正の鉄ハンドル。

ハンドルクランプ部からの立ち上がり角度が急で、直線部が長くなってます。

そうすることでホルダーやスイッチ類の取り付けには余裕が出来ますが、

曲がりが急な為、コケると一発で曲がると思う。

特にDRは重いから、絶対曲がるに決まってる。

純正ハンドルにはスイッチ類の所に位置決めの穴が空いてます。これでスイッチボックスがズレないようになってます。

社外品のハンドルバーには穴はありませんので、穴を空けるか、スイッチボックス側の凸を切除します。

私は面倒なので、凸部を切除しました。

ハンドルバーの交換は多少面倒なものの、大して難しい作業ではありません。

が、1つだけ気をつけたいのが「ハンドルバーのクランプホルダー」の締め付け。

バーのホルダーの締め付けには手順が決められていますが、今回のDRは間違った方法で締められてました。

前オーナーさんはバイク屋さんに整備を任せていたようですから、バイク屋さんが間違えたのでしょうか。

そこで、ちょっとこのホルダーの締め付け方を紹介しておきます。そんなこと知ってるという方は読み飛ばしてね。

バーハンドルのホルダーの締め付け方には(私の知る限り)2通りの方法があります。

1つは、バーの前後で締め付けるボルトのうち、前側を先に締め付け、後側で締め加減を調整する方法。

この方法で締め付けるホルダーには、前側を示すポンチマーク(小さな穴)が施されています。

ポンチが打ってある方を前に向け、先に前側を規定値で締め付けると、ホルダーの後側が少し隙間が開いた状態になります。

あとは後側のボルトを適度に締めることで、ハンドルバーを固定するのです。

もう1つはホルダーの前後のボルトを均等に締め付ける方法。

この方法で締めるホルダーには前後が決まっていないので、ポンチマークはありません。

ハンドルバーを取り付け、ホルダーの前も後も均等に隙間が開いた状態で締め付けます。

DRの場合は、この前後均等に締め付けるタイプのホルダーが使われています。

一般的にはポンチマークが有る、先の方法が多いようですが、前後均等にしめなければならないホルダーを

先の締め方で取り付けるとホルダーが変形する可能性があります。

また、ポンチマークがあるホルダーは向きが決まっているので、必ずマークが有る方を前にして取り付けます。

同様にクラッチレバーのホルダーやブレーキのマスターシリンダーの取り付けも、

ホルダー部分には「UP」やポンチマークが施されているはず。

その指示通りの向きにして、この場合は上から締め付けて、下側で締め加減を調整します。

ハンドル周りを整備する時は、この締め付け方に注意しましょう。

何言ってんだか分かんねーって人は、コレをご覧下さい。

これはDRのハンドルバークランプ。

クランプの前後の隙間を均等にしてボルトも均等に締めるとマニュアルにも書いてあります。英語だけど。

で、これがCRMのクランプ。

前側のボルト(画像左側)付近にポンチマーク(小さな穴)が見えるでしょ。

このマークが有る方が前で、前側から締め付けて前側を密着させます。

後側のボルトは締め加減を調整するもの。

だから後側しかクランプの隙間は出来ません。

ついでにブレーキのマスターシリンダーのホルダー。

UPという文字と矢印が刻印されてます。

向きを合わせて上側から締め付け、ハンドルクランプ同様に下側で締め加減を調整。

 

さて、一通り組み終わり、名義変更、保険の車両入れ替えも済ませたところで試運転。

走り始めると、今まで分からなかった不具合が出てきます。

症状は「ハンドルがまっすぐ向いていない」「スロットルが重い」「アイドルが不安定」など。

げげ!?まっすぐ走らないじゃん!?何故?やっぱりホイールに互換性が無いのか?

止まって詳しく見てみます。

すると、ハンドル(ホイール)が曲がってるのではなく、カウルが右に歪んでるのが分かりました。

フェンダーといいカウルといい、なかなか惑わせてくれます。転倒の際、ステーか何かが曲がったのでしょうか?

歪んだまま走行すると何だか気分が悪いですが、とりあえず走行に支障は無さそうなので、これは後回し。

スロットルとアイドリングは支障があるので、キャブの分解清掃とスロットルワイヤーの潤滑をする必要がありそう。

あぁ、何だか延々と整備をする必要があるような気がする・・・

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