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FANTIC 247 の整備記録 vol1
基本整備(1) フロントフォーク
トライアルバイクに乗ろう! トライアルバイクでバイク操作の基礎をもう一度練習しよう! そんな思いで手に入れたトライアルバイクFANTIC。「要らないからタダであげるよ。」という甘い言葉にほだされて貰ったは良いけど、どうすんのよコレ?
車両状態 長年放置されていた車体は、かなり手が掛かりそう。洗車して各部をチェック。ざっと見て整備しなければいけない個所は フロントフォークのオイル漏れ キャブレターのOHとインシュレーターの交換 前後ブレーキの清掃、もしくはシール交換 前後ブレーキのフルード、ブレーキパッド交換 リヤ周りのグリスアップ ステアリングステムのグリスアップ 前後チューブ交換 できればタイヤも 各部の潤滑、清掃、調整 などなど。 放置されていただけあって、ゴム系、シール系部品はダメです。ただ、整備個所は沢山ありますが、構造はオフロードバイクと何ら変らないので、セオリー通りの整備内容といえます。トライアルバイクは無駄な物が一切無い為、整備性も良いのですが、修理に必要な部品と整備データをどうするかが問題。近くにファンティックを扱っているお店など有りません。というか、ネットで調べても取り扱い店が出てきません。部品が入らなければ直し様がありません。哀れファンティックは鉄屑の運命か? と思った所で、ファンティックの部品を手配出来る人と連絡を取る事が出来ました。整備データも分かるそうなので、とりあえず必要なデータを教えてもらいました。ファンティック、DRにも増して危ういです。
フロントフォーク修理 オイルシールの交換 とりあえずフロントフォークから。これを何とかしないとどうにもなりません。ですが、ファンティックについてるフォークはマルゾッキ製。流用か市販品で何とかならないか、とりあえず出来る事はやってみましょう。 まず、片方だけフォークを分解してみます。CRMなどとは構造が違うので、組み図のメモを取りながら分解していくと、あれれ?あっけなくバラバラに。ダンパー部分をバラさなくてもシール交換が出来ます。凄い整備性。で、外したフォークのオイルシールは、 内径φ35 × 外径φ47 × 幅7.5/11 と、なっています。国産車で合う物が無いか探してみましたが、微妙に外径が違います。ネットで色々調べると、マルゾッキ用φ35というのを発見。外径が表記されていませんが、多分マルゾッキ用なら同じではないかという楽観視をして注文してみます。届いたシールは、読み通りピッタリ外形φ47です。やったよ母ちゃん!これでシールに困らなくて済むよ! webikeという通販サイトで見つけたマルゾッキ用のシール と、思いきや、喜び勇んで組み付けると微妙な形状の違いから組み付け出来ませんよ。純正のシールは断面の形状が凸の様に段付きになっています(幅7.5/11というのは、全体の幅が11mmで、7.5mmの所で段になっているということみたいです)。購入したシールは外径寸法も幅も同じですが断面形状が□で、ただの円筒形。純正の凸のへこんだ部分をストッパーリングで固定する為、ただの□ではストッパーリングが取り付け出来ないのです。ストッパーリングがなければフォークにショックが加わった時、シールが抜けてしまわないとも限りません。やはり純正シールを購入するしか手が無いのでしょうか。 純正部品が手に入るまで放置するのもなんなので、とにかくダメ元でも何とかシールを固定する方法を考えます。元々ダストシールの新品は無いので、やむを得ずダストシールは無しにして、ダストシール分のカラーを作り、ダストシールが収まる部分にストッパーリングを取り付ける、という手段を取ります。オイルシールだけというのはシールに良くはありませんが、このままではフォークが使えません。シールを組み、カラーを入れ、ストッパーリングで固定して、とりあえずは完了。シールとオイルはネットで簡単に手に入るので、純正部品が手に入るまでの仮修理としてなら使えるかも。
ちょっと分かり難いですが、カラーで誤魔化したシール部分。 内径φ38mm × 外形φ47mm × 幅約5mm のアルミのカラーを作り、 シールの外側に入れてストッパーリングで固定。 外形φ47で仕上げて有るのでズレることはありませんが、 念の為インナーチューブにダメージを与えないようにアルミで作ってあります。
インナーチューブ 次にインナーチューブの錆落しをします。インナーチューブのボトム付近に錆が出ています。しかも一部表面のメッキ層がめくれる位酷いです。錆も早めに処置すれば磨く程度で済みますが、メッキ下まで進行すると手におえません。インナーチューブを新品に交換するとなると、とんでもない金が掛かりそうなので、やむなく磨いてなめらかにして誤魔化します。
フォークの組立て 残りのもう片方も整備して、組み立てに入ります。このマルゾッキ製のフォーク、左右で構造が異なっています。右側のフォークは伸び側のダンパーのみ、左側のフォークは縮み側のダンパーのみと、左右でそれぞれを単独で受け持ち、更にスプリングは左側にしか入っていません。これでネジれたりしないのか不思議なのですが、この方がシンプルで軽く出来るのでしょうか。 フォークを分解したところ。 これは左側(ブレーキ側)で、スプリングが入っています。 インパクトレンチを使わなくてもここまで分解できるのは便利。 ともあれ、教えてもらったデータを元に、7.5のフォークオイル(これまた中途半端な粘度)を購入し、オイルレベル130mm(左右とも)で調整し、組み立てます。元々左右で異なるフォークなのに左右同じオイルレベルで良いのかどうかも良く理解出来ないのですが、まぁイタリア製だからということで全て納得。フォークを組んだら、キャップ部分のエアー抜きを開放して、内部を0気圧にしておきましょう。キャップのOリングも劣化しているので、出来れば交換したいところです。
とりあえずフォークは何とかしましたが、動かす為にはまだまだやる事が沢山有ります。次は、ついでにステアリングステム。フロント周りを終えたところでキャブレターを掃除してエンジンをかけてみまることにします。
今回の出費 フォークシール ariete フォークシール MARZOCCHIφ35用 1,512円 フォークオイル MOTOREX レーシングフォークオイル7.5W 1L 2,268円 送料 600円 代引き手数料 200円 計 4,580円
フォークシールは、2個1セットの商品。とても経済的なのですが、残念ながらそのままでは使えません。フォークオイルは、7.5がMOTOREX以外には見当たらなく、ブレンドするのも面倒だったのでMOTOREXを購入。 部品の購入、整備、改造等は、自己責任で行って下さい。ここに書かれている事を参考にして被害に遭われても、当方は一切責任を負いません。 |