ようこそ素晴らしきトホホの世界へ
FANTIC 247 の整備記録 vol2
基本整備(2) フロント&キャブレター
前途多難なFANTIC。でも大丈夫。トホホは慣れっこだから。
フロント周り フォークを外したついでに、フロント周りの整備をします。
ステアリングステム ステアリングステムのベアリングは、バイクにとってとても重要な所。放置されていただけに恐る恐る分解してみると・・・、幸い特に目立った損傷は無いようです。更にベアリングにはKOYO mada in japanの刻印が。以前の整備で国産に交換されたのか、元々国産のベアリングが使用されていたのかは分かりませんが、ステムベアリングに関してはジャペーンのベアリングが使用出来るということです。ファンタスティック!ジャペェーン! 掃除して、グリスを塗り込んで組立て。国産車に比べて構造が若干異なりますが、さほど問題にはなりません。が、組み付けてハンドルを動かすと微妙にゴリゴリ感が。ベアリングも交換時期です。元がコンペマシンですからベアリング部にはまともなシールが有りません。マメに整備する必要がありそうです。 ステアリングステムASSY。 予想していたよりは程度は良かったです。 クランプは上下共にアルミ製で、ベアリングはテーパーローラー。 国産車の様な涙ぐましいコストダウンは見受けられません。
フロントブレーキ ブレーキキャリパーも掃除。割ピンを抜いてパッドを外します。割ピンは再使用出来なくもありませんが、変形しているとキャリパーの穴に通すのが難しいので、新しいピンを用意しておいた方が無難です。コンパクトな対向ピストンキャリパーなので、内部の掃除がしにくいです。 割ピン 呼び径φ4mm(実寸φ3.8mm)×長さ50mmくらい。 掃除は無事に済み、ピストンシールも一応問題なさそうなのですが、パッドが裏表で取り付けてあった事が発覚。左右対称のパッドなので、裏向きでも付いてしまうのですが、裏向きなのでパッドではなくベースプレートがブレーキローターに当たり、ローターがガサガサになっています。やけにローターが荒れていると思っていたら、こういう事だったのね。これじゃブレーキ効かないし、凄い音がしていたと思うのですが・・・。とりあえず正常に組み直し。マスターシリンダーもスポンジーな感じはせず、正常に機能します。 ブレーキフルードを交換しようと思ったら、ブリーザーのボルトを緩めるのに11mm?のスパナが必要。モンキーでも出来なくはないのですが、作業の確実性と部品の破損防止の為、後日改めてやることにします。
フロントホイール ホイールに損傷は見受けられません。タイヤもとりあえずは使って使えなくもありません。長年放置されていた車両なので、念のためにチューブだけは交換しておきます。フロントは21インチ。トライアルではどうなのか知りませんが、パンクすると困るので一応ヘビーチューブにしておきます。 ハブやメーター取り出し部などを掃除して組立て。フロント周りは簡単そうに見えて、組み立ては意外に面倒。 フロントチューブ 2.75−21
吸気系 キャブレター キャブレターはケイヒン製。元々付いていたのではなく、日本に持ち込まれてから換装されたのではないか?とも言われましたが、どちらにしろジャペェーンの部品ならメンテナンスの面では心配ないです。ファンタスティック!ジャペェーン! 分解して掃除。タンクのコックはONのままで、フロート室はガソリンで満たされた状態で放置されていましたが、混合ガソリンのお陰でしょうか内部は掃除も必要無いくらい綺麗な状態。念のため洗浄、エアブローして組立て。日本製の普通のキャブレターなので、構造も極普通で問題ありません。 燃料ホースとフィルターは新品に交換。タンクはポリタンクなので、錆でトラブルを起こす事はありませんが、念のため。ホースは半透明な物を使用。異常時に、ガソリンが来ているかどうかが一目で分かるので原因が探しやすく、古い年式のバイクにはお勧め。
インシュレーター キャブは問題無さそうですが、キャブを取り付けるインシュレーターが問題。エンジン側もエアークリーナーボックス側もひび割れています。取り外してみると、亀裂は表面だけで内部まで達している訳ではありません。念のため、コーキングで表面を処理しておきます。 インシュレーターをシリコーンコーキングで補修。 黒色の方が目立たなくて良かったんだけど。 燃料ホースとフィルターを交換。 かなり窮屈なのでちょいと無茶な取り回し。
エアーフィルター 吸気系で一番問題なのは、エアーフィルター。劣化してボロボロで、とても再使用は出来ません。長期間放置されていた車両をいきなり始動しようとすると、ボロボロのスポンジを吸い込んでしまって大変な事になりかねない、という話を聞いた事があります。今までキックしなかったのはその為。 フィルターを取り外してみると、オフロードバイクにありがちな立体的な成型ではなく、只の四角い板状のスポンジみたいです。汎用のフィルタースポンジを買い、寸法に合わせて切断して取り付け。多分、これで問題ないのでは。 純正のフィルター。 板状のスポンジを、白いプラスチックの枠で固定しています。 フィルターは経年劣化でボロボロになり、使い物になりません。 フィルターは、ただの板状のスポンジなので 汎用の補修用フィルターで代用してみます。 たまたま南海部品で見つけたフィルター。 スクーターの補修用みたいです。 純正と同じ寸法に切り出して取り付け。 最低2枚は取れるので、ちゃんと走れたらお得かも。
その他 スパークプラグ 車体にはCHAMPIONのプラグが付いています。2stエンジンでは、予備プラグも常備しておきたいところですが、CHAMPIONでは入手も難しいので、型式を比較して国産で同等の物を探してみます。NGKのサイトに、他社製品との互換表がありました。親切で便利。 CHAMPION N5C NGK B6ES となっています。近くの部品屋にはB6ESが有りませんでしたが、BR6ESが有ったのでそれを購入。Bは抵抗無し、BRは抵抗入りプラグですが、寸法も変らないし実際の使用には問題無いと思います。 しかし、以前のオーナーさん、CHAMPIONにこだわっていたのでしょうか。それとも新車から1度も交換されていないのでしょうか。 CHAMPION(左)と、代替品のNGK(右)。 メーカーサイトで互換を公表しているだけあって サイズはほとんど同じ。 画像はBR6ESですが、B6ESも変らないと思われます。 実際に走行してみないと本当にコレで良いのかどうか分かりませんが、 何処でも入手可能なのは有難いです。 ファンタスティック!ジャペェーン!
2stオイル エンジンオイルはWAKOSの2CRを購入。まだ走れるかどうかも分からないのに、500ccで2000円を超える高価なオイルを買うのもどうかと思いますが、なんせイタリア製のエンジンですからぶっ壊すと大変そうなので、一番良い物を購入してみました。ちなみにもっと高価なオイルも有りますが、2CR以上になると植物性オイルが配合されます。植物性オイルは性質上劣化が早く、またカーボンが蓄積しやすいという話ですので、化学合成油オンリーの2CRを選定。2CR以上のオイルには、トライアルの混合割合が書いてない事からも高回転・高負荷用で、トライアル車には向いていない物と思われます。オイル自体は高価ですが、70:1〜80:1で使用すると書かれているので、使用量としてはかなり少ないです。
始動 混合ガソリンを作り、エンジンを始動してみます。国産車とは逆で前側に回転するキックアームを4、5回踏み降ろすと、あっけなく始動。フライホイールマスが重いのか、回転の落ちが遅い感じ。CRMなどとはかなり違う印象。走るとどんな感じなのか楽しみですが、とりあえず今回はここまで。エンジンが掛かるのは確認出来たし異音もしていない様なので、リヤ周りの整備とミッションオイルの交換、細かな整備をして公道を走ります。
今回の出費 チューブ(F) 2.75−21 ヘビータイプ 1,680円 2stオイル WAKOS 2CR 1,990円 送料 525円 代引手数料 630円 エアーフィルター 860円 スパークプラグ NGK BR6ES 450円 燃料ホース 600円 フューエルフィルター 700円 計 7,435円
チューブとオイルはGT商会の為、送料と手数料が掛かっています。後は南海部品で購入しましたが、うっかりレシートを捨ててしまったので金額が曖昧。まぁ、今回特に特別な物は使っていません。 部品の購入、整備、改造等は、自己責任で行って下さい。ここに書かれている事を参考にして被害に遭われても、当方は一切責任を負いません。 |