フォークエアーバルブ

フロントフォークのエアバルブ。

有ると何かと便利ですがDRには有りません。

それなら付ければいいじゃん!簡単じゃん!と思いきや、

ここにも大きな落とし穴が!!

 

 ちょっと古いバイクや本格的なオフロードバイクのフロントフォークにエアーバルブ

(タイヤに空気を入れる所に似た形状の物)が付いている場合があります。

エアーバルブではなく、マイナスネジでエアー通路を蓋している物もあります。

古い物ではサス性能が今ほど良くなかった為、積極的にエアー圧を利用しようとした物と思われます。

最近の物ではサスペンションの性能をきちんと発揮出来るようにする為に付いています。

なぜエアーバルブが必要なのか?というと・・・

説明を書くと長くなるので、必要のある方は下の(注)を参照して下さい。

 DRには当然付いてません。

でも「フォークのキャップにネジを切って簡単に付くじゃないか」と思ったのです。そう、確かに簡単に付きます。

エアーバルブ単体で入手出来る車種をバイク屋さんが調べてくれました。

DT200の物はバルブ単体で購入できるようです。

そこで注文したのですが、その後DRには致命的な欠点があるのに気付きました。

それは「フォークのオフセットが少ない」こと。

どういう事かと言うと、ステアリングステムのセンター(ハンドルが切れる中心点)と、

フロントフォークのセンターがほとんど直線上にあるのです。

それがどうしてマズいのかと言うと、フォークキャップがハンドルバーのほぼ真下にきてしまうのです。

普通に取り付けたのではエアーバルブとハンドルバーが干渉してしまいます。

そうまでして付けなければいけない程重要な物なのか?と考える以前に、

2400円も出して買ったエアーバルブをムダにするわけにはいきません。

そこでフォークキャップを切削してバルブが少しでも低く取付できるように加工します。

そこにバルブに合うタップを立てて、取り付けます。

フォークキャップの中心部を削ってバルブを埋め込みます。

 

それをフロントフォークに取り付けます。

やはりハンドルバーのほぼ真下に来てしまいます。

ハンドルバーには当たりませんが、バルブを使ってエアーを抜くどころか

バルブのキャップすら取れません。

 

これはCRMのステアリング部分。

フォークのオフセット量が大きいのでハンドルバーよりかなり前に出ています。

ちなみにノーマルのCRMにもエアーバルブは付いていません。

CRの物を流用しているようです。

 

 頑張って、お金も使って取り付けたエアーバルブ。

それなのにキャップすら取れないなんて、なんてトホホなんでしょう。

でもフォークシールを交換する時に、フォークをバラさなくてもバルブから圧縮エアーを入れて

シールを押し出すという裏技は使えそうです。

って言ってもフォーク分解用特殊工具、以前作ったんだよね・・・

 

(注)

サスペンションの仕組みはコイルスプリング(バネ)の伸縮により衝撃を吸収し、

オイルがオリフィス(オイル通路)を通る抵抗により揺れを低減する(ダンパー)わけですが、

フロントフォークの場合はもう一つ、エアーが関係してきます。

フロントフォークは内部が全てオイルで満たされているのではなく、上部に隙間(空気)があります。

フロントフォークが縮んだ時に、その隙間の空気が圧縮されてスプリングの役割を果たします。

サービスマニュアルにはフォークオイル量と同時に「油面高さ」が表記されているのですが、

この油面高さというのは、フォークオイルの量を管理すると同時に、エアー量も管理することになり

大きく外れると本来のサスペンション能力を発揮出来ません。

正しく整備したフォークでも、ダートを激しく走るとサスペンション内部の温度が上がり、

内部のエアーが膨張して加圧されたのと同じ状況になってしまいます。

そこでフォーク上端から圧力を抜き、本来の状態に戻してやるのです。

激しく走らなくても外気温が変化すればフォーク内部にも圧力の変動が生じます。

そういう時に、キャップを取らなくても簡単に大気圧に戻せるエアーバルブがあると便利なわけです。

ちなみにエアーバルブを操作するのはフロントフォークが0Gの時でなければいけません。

つまり前輪が浮いた状態にしてからバルブを開けます。

ライダーが跨ったり、サイドスタンドをかけた状態で操作するとフォークが縮んでいるので、

0Gの時にフォークには負圧がかかってしまいます。

慣れれば停まってスタンドをかけなくても、ジャンプした時やウイリーした時に操作出来るかも?

 

余談

 なかなか整備の時間が取れないので、出勤前の10分ぐらいでフォークキャップをバラしにかかりました。

慌ててやる作業はろくな事がありません。

サイドスタンドでバイクを停めた状態でキャップを外しに掛かりました。

で、どうなるかと言うと、キャップで押えられていたスプリングがボヨヨ〜ンと跳ねます。

しかも冷静に考えれば片側で止めておくものを「何としても今すぐ外したい!」という強引な欲望が

正常な判断を狂わせ、両方外してしまいました。

で、どうなるかと言うと、支えの無くなったフロントフォークは車重でフルボトム。

フロントだけがフルボトムするものだからサイドスタンドでは保持出来ない状態です。

う・・うぉぉ!?一瞬頭が真っ白になりましたが、1つだけ確実に言える事は

私が支えていなければ、我が愛車は転倒必至という事。

しかも会社に行かねばならない時間は刻一刻と過ぎつつあります。

冷や汗タラタラかきながら、幸い近くにあった自動車用ジャッキを当ててなんとか転倒は免れました。

あぁ・・狭いガレージで良かった。・・・じゃなくて、

センタースタンドをかけて手順良くやれば何事もない作業なのに、

慌てたばかりにジャッキ3台を使って慎重にフロントを上げる作業をせねばなりませんでした。

急がば回れ、良く言ったものです(-_-;)

 何もかもがトホホに終わった今回の作業。

「やめときゃ良かったのに」と言う無かれ。

こういう地道な作業が愛車のグレードを上げ、自分自身のグレードも上げるのです。

う〜ん、グレードを上げるというより、どんどん壊しているかも・・・?

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