bT 工具箱

ある程度工具が揃うと、それを入れておく工具箱が必要になってきます。工具が収まれば何でも良いのですが、使い勝手を考えると意外に選択が難しい物です。

工具箱も様々な製品が有るのですが、ガレージに据え置きという使い方ではなく、ある程度持ち運ぶ事を前提にして使い勝手を考えると、大体2つに絞られます。チェストタイプ(上蓋が1つと、前面に引き出しが付いた形状)か、両開きタイプ(ガバッと両側に開く形状)というのが一般的。それに金属製か、樹脂製か、という材質の問題が有ります。

チェストタイプはメジャーなツールケースで、店頭でも広告でもよく見かけます。利点は、コンパクトで収納性が良く、強度が有ること。持ち運んで使う事を考えると、必ずしも平坦な作業場所であるとは限りませんが、デコボコした場所や、傾斜した場所で作業する場合、ケースの強度や安定感が結構問題になります。チェストは本体が箱型をしていて、作業時もその形状が変わらないので強度が有り、不整地に置いても変形する事無く安定して使えます。反面、問題となるのは、引出しが被るという事。上の段の引出しを出したままでは、下の引出しの道具を取り出せないので、都度引出しを戻す必要があります。チェストを選ぶ際は、この辺りに留意して、外箱の強度や、引出しの具合と信頼性等を確認した方が良いと思います。

チェストタイプと人気を二分するケースとして、両開きタイプが有ります。いかにも工具箱ぜんとした格好ですが、利点はケースを開けると全ての工具を取り出せるということ。携帯する工具箱としてはとても合理的で実用的な形状です。両開きの欠点は、収納部を保持しているリンク部分。収納部の保持と共に可動しなければならないので、強度を上げるのが難しい部分です。工具を収めると、結構な重量がこのリンク部分に掛かる上、デコボコした場所や傾斜した場所に置いて箱を開くと、リンクに負荷が掛かり、ケースが歪む事があります。選ぶ際は、この辺りの作りや仕上げをよく見た方が良いと思います。また、保管時や移動時は必ず留め具を締めて、リンクに不要なストレスを与えないように注意するべき。それと、これは実際に使ってみて分かった事なのですが、工具を取り出す為に工具箱を開けようとするとかなりのスペースが必要になる、ということ。両開きタイプは必ずしも両側を開かなくても(必要な工具が収めてある片側だけでも)良いのですが、片側だけでも開く為にはかなりのスペースが必要になります(おそらくチェストタイプ以上/下の画像参照)。しかも、完全に開かないと蓋部分や2段部分が重なって目的の工具を取り出す事が出来ません。広い場所なら良いのですが、狭いごちゃごちゃとしたガレージの中で作業するには不向きです。両開きと良く似た構造で片開きの製品も有りますが、片開きの場合、留め具を閉め忘れて持ち上げると中身をぶち撒けるので、両側の取っ手を同時に持つ形状の方が使い勝手は良いです。

ハコの材質は、一見金属製の方が丈夫そうに思えますが、実は樹脂製の方が軽量で強度も有って良かったりします(信頼性の有るメーカーの、良い材質を使った物の場合)。車のドアとバンパーを想像すると分かりやすいと思いますが、金属製の場合、ぶつけると変形します。プラスチック製の場合、傷は付いてもヘコむ事は無いし、よほどひどい衝撃を受けなければ割れて破損する事も有りません。それに、金属製に比べて軽いというのも魅力。使用頻度の高い工具に絞っても、一式を入れるとかなりの重量になるので、持ち運びするなら重さも重要な要素です。見栄えや質感は金属製の方が良いのと、チェストにしても両開きにしても、しっかりとした作りの樹脂製製品が少ないので選び難いというのが難点でしょうか。

どの形状でも言える事ですが、ツールセットと違って市販の工具箱はキッチリと工具が納まらず、仕切り板を使っても結構無駄なスペースが生じやすいです。上手く収納するには工夫が必要ですが、逆に融通が利くとも言えます。

サンデーメカニック程度の使い方では、工具箱が破損する様な事は稀ですから、箱が使えなくなって買い換えるという事は少ないでしょう。そうすると、もし不都合の有るケースを買ってしまうと、我慢して使い続けることになります。雑誌などでも工具について論じられる事は良く有りますが、箱に関しては触れられる事はあまり有りません。しかし、快適な整備の為には工具と同じ位重要な物ですから、よく吟味する事をお勧めします。

以下参考まで。

 

KTC製両開きタイプ

今現在僕が使用するケース。日本の工具メーカーKTCの、樹脂製の両開きタイプ。樹脂製のチェストを探していたのですが、なかなか見つからない時に、オークションで見かけて購入。型式は、「SK330P−M」で、「筋金いり」というサブネームが。もう少し気の利いたネーミングは無かったのかとも思いますが、確かに筋金入りの出来栄えです。工具箱というと、赤いチェストタイプがメジャーですが、両開きタイプも箱を開くと全ての工具を取り出せるので、使い勝手は良好。両開きタイプのネックは、収納部を連結しているリンク部で、リンクだけで収納部を保持しているので、そこの作りが貧弱だと横方向の強度が弱く、節度が感じられません。また、リンク部分が箱の外に露出していると、保管中や持ち運び時にぶつけたりして傷める事があります。KTCのこのタイプはリンク部分がケースの内部に有る為ダメージを受けにくく、また、閉じた時は爪で固定されるので横方向の衝撃を受けてもリンクがダメージを受ける事がありません。取っ手部分も、フタの留め金部分も出っ張っていないので、ぶつけて破損させる事もなく、角が丸い形状なので、持ち運びの際に引っ掛けたりして周りにダメージを与える事もありません。この辺りの細かな配慮は、さすがに国内有数のツールメーカーだけあって、かなり信頼性が高いです。ちなみに値段も高く、定価は29,900円。僕の購入価格は1万円。ハコに1万というのも微妙な金額ですが(しかも樹脂製だから高級感は無い)、充分納得出来る製品で、お買得だったと思います。

KTCの樹脂製両開きタイプ。

作りの良い樹脂製工具箱は、なかなか見かけません。

側面にKTCのロゴが入ってますが、数万円する箱には見えませんね。

でも、良いつくりで使い勝手は良いです。

細かい心配りは、さすがMade in JAPAN。

重さは4.0kg(箱のみ カタログ値)。

同じメーカーの同等の金属製ケースが8kg前後有るので、

かなり軽量に仕上がっていますが、要所に金属を使用しているので

貧弱な印象は受けません。

でも不整地に置くとケースが歪むので、

作業時はもちろん、保管する時もなるべく平坦な場所に置くように心がけた方が良いです。

収納部は3段で、開くとこんな感じ。

開けると全ての工具が取り出せるのは便利ですが、

逆に完全に開かないと工具が取り出せないという欠点も。

この箱の中の工具で、バイクに関するほとんどの整備が可能なので、

持ち運ぶ事も考えるとこれ位の大きさが限度。

サイズは、L445×W280×H250。

真四角ではないので、目安です。

 

一般的なプラボックス

以前使っていた工具箱。ホームセンターなどで良く見かける一般的な箱です。収納性も強度も申し分無いのですが、唯一問題なのは使い勝手の悪さ。中の2段になったトレーをどかさないと、中の工具にアクセス出来ません。それと、この手の片開きの箱は、蓋の留め具を締めずに持ち上げると、中身をぶちまけてしまうという難点も。ただし、そう頻繁に使わないので多少の使い勝手の悪さは我慢出来て、見栄えも気にしないというのであれば、これでも充分。実際僕は10年以上使っていたし、上記のKTCのハコに入っている工具の全てがコレに納まります。

確かアイリス・オーヤマのケースだったと思う。

安くても意外に機能的で、収納性も強度も申し分無いです。

箱の上に乗っても壊れないので踏み台の代わりにもなり、意外に便利。

箱の内部。

箱とトレーの組み合わせは、安価な工具箱には良く有る構造。

収納力は有るのですが、いかんせん使いにくい。

 

安物の両開きタイプ

これもホームセンターなどで良く見かける、一般的な両開きタイプの工具箱。収納性や使い勝手は悪くないものの、強度的に心もとないです。問題なのは収納部分を連結しているリンクの強度が低いという事で、横からの衝撃が加わると簡単に変形してしまいます。構造上重要で弱い部分が外に露出しているのも問題。強度が低いので、開閉動作も節度が感じられるものではありません。箱が角張っていたり、作りが甘かったりすると、持ち運ぶ際に引っ掛けたりして周りにダメージを与えかねないので注意が必要(例えば、車のシートを箱の角で破ったり、人に当たって怪我をしたり、等)。僕は使用頻度の少ない工具類を入れる補助的なツールケースとして使用してますが、メインでは使う気にはなりません。ただ、同じ様に見えても、しっかりした作りの製品も有りますので、購入する際は色々と注意して見比べてみると面白いです。

極一般的な両開きタイプの工具箱。

よく有る形状で、千円くらいから数万円する物まで色々有りますが、

値段が違えば当然クオリティも違います。

リンク部分が変形して、上下でズレているのが分かるでしょうか。

収納性や使い勝手は特別悪くありません。

コレは2段ですが、収納部が3段になった物もあります。

メインで使うなら、3段の方が収納力があって使いやすいと思います。

使用頻度が少ない、ヘビーデューティさは要求しない、というのであれば、

高価な物でなくてもそれ程不満も無いかもしれません。

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