ステップ加工

03年7月

ステップ部分のプレートを加工。

 

一応走れるようになった僕のSRX。走りながら感じを確かめると、どうもステップ周りに違和感を感じます。何故違和感を感じるのか調べてみると、どうもタンデムステップのステーの形状が良くないみたいです。僕が乗るSRXの2型(87年式)は、ステップ後端付近からアルミ製のタンデムステップのステーが伸びており、それがプレートの役割も兼ねているようです。見た目は綺麗なんですが、このステーの形状が良くない。タンデムライダーの荷重を受ける為肉厚の厚いアルミダイキャストを使用しており、さらにリヤブレーキのマスターシリンダーやリヤサスペンションを逃げる為に、後方に行くに従って外側に出っ張っています。その為、ステップに土踏まず部分を乗せている分には収まりは良いのですが、ステップに爪先を乗せた状態でステー部分をホールドすると、踵部分が妙に外側に追いやられてしまいます。そこでこれを何とかホールドしやすい状態にしてやろうというのが今回の狙い。

タンデムステップ・ステー

厚みがあるアルミキャスト製で、しかも外側に向かって張り出してるのが分かるでしょうか。

 

タンデムする機会はほとんどありませんから、この形状の悪いタンデムステップ・ステーは取り外しても不都合はありません。ただ外しただけでも良いのですが、マスターシリンダー等が気になっていまいちホールド感が悪いのと、ボルト穴だけが残ってしまうのも芸が無いので、外したステーの代わりにホールド用のプレートを付けることにします。なるべくフレームとプレートが同一面になるようにして段差が無い形状が好ましいです。手っ取り早いのは、初期型のプレートを取り付ける事。初期型はタンデムステップがスイングアームに取り付けられており、ステップの後にはホールド用のプレートが付けられていました。わざわざ新品を買わなくても、オークションで中古パーツとして手に入るのも好都合。ただし、取り付けのボルトサイズや取り付け穴のピッチが同一であるという保証がありませんし、確認する手段もありません。もし取り付け寸法が異なれば加工しなければならず、わざわざ取り付け出来ない物にお金と手間を掛けるのもバカバカしい。と、いう事で自作してみましょう。

作る上で問題なのは、(1)取り付けボルトの位置が垂直でない (2)プレート端面も垂直でない (3)リヤブレーキマスターシリンダーやチェーンカバー固定ボルトと干渉する為、オフセットする必要がある という点。取り付けボルトやプレートの形状は、綿密に寸法取りすれば問題ありませんが、ただの一枚板ではオフセットさせる事が出来ないのでちょっと面倒。厚さ5mm程度の板でプレートを作り、10mmくらいの噛まし物を入れてやれば簡単ですが、それでは出来栄えがイマイチそう。そこで厚さ15mmのアルミ板から削り出すことにしました。面倒ですが、アルミ一体物ですから見栄えも強度的にも問題無いでしょう。それらを踏まえて考えた形状が下の図。

重要なのは取り付けボルト穴の位置で、それ以外の寸法は適当でも構いません。しかし、左側は余裕があるのですが、右側はリヤブレーキマスターシリンダー、ブレーキスイッチ、ステップホルダー等と干渉擦る為、かなり制約を受けます。一番面倒なのはマスターシリンダーを避ける為の10mmのオフセットを作る削り出し作業。25mm厚では若干フレームよりも出っ張る為スッキリしませんが、マスターシリンダーを避ける為に最低でも10mmのオフセットは確保せねばならず、プレートの取り付けボルトを出っ張らない様にするにはこれ以上薄くする事は困難なので、やむを得ません。取り付けボルトをキャップスクリューではなく、頭部分が薄い+ネジ等を使用すればもっとスッキリ出来るでしょう。図面には書いてありませんが、角は丸くして怪我しないようにしておきます。

取り付けボルトは2本だけだし、簡単に出来そうだけど、

あちこち干渉する所が多くて案外面倒臭いです。

計算したつもりが、何だか少し後下がりになってますね(-_-;)

 

しかしお陰でステップ周りがかなりスッキリしました。

 

今回はなるべくお金を掛けたくなかったので自作しましたが、普通の人はフライス盤などの工作機械など有るはず無いので、この図面の物を作ろうとしても不可能です。機械があっても実際に作るとなると結構面倒です。書いておいて何ですが、ステップ周りをモディファイするなら市販品を利用した方が堅実かと思われます。多分探せば市販品のプレートも有ると思うのですが、同じアルミ製でもより強度の高いアルミ合金製ならば5mmの厚さなど必要ないでしょうし、仕上げも綺麗でスッキリするし、カーボンプレートならばより薄く、しかもドレスアップ効果も期待できるからです。ただ、オフセットにφ10mm程度の穴の空いたパイプを長さ10mmくらいに切った物を使用し、プレート部分は3〜5mmくらいのアルミ板から切り出せば、大した機械が無くても出来ない事はありません。

実際に走ってみると違いは明らかで、ホールド感はノーマルとは比較にならないほどしっくりきます。ただステーを外しただけではないので、マスターシリンダー等に足が当たる心配も無く思いっきりホールドでき、安心して乗ってられます。ステップに爪先を乗せる走り方が良いか悪いかは分かりませんが、これだけフィーリングが違うのならアフターマケットのパーツを購入するだけの価値はあると感じました。

ステップに土踏まずを乗せて極普通に乗る分にはノーマルのままでも何ら問題はありません。ただ、少しアグレッシブに走行したい時、リーンインの姿勢を取る時に、僕はステップに爪先を乗せるのですが、その時の感じに大きな差が出てきます。こういう事を書くと「そんな事する程速く走れるのかよ」と、思う方も居るかもしれませんが、僕は遅いです。ここで言いたいのは、「速く走る為ではない」ということ。自在に操る為には、しっかりと正確に操作する事が出来なければいけない訳で、操作に支障をきたしたり、フィーリングが悪い事は、速い遅いに関わらず問題であるという事です。レバーの位置を自分の手に合わせたり、操作しやすい角度に合わせたりするのと同様に、ステップ周りも自分の好みに合わせる事は本当の意味でのカスタマイズだと考えます。

戻る

inserted by FC2 system