まだまだやる事はいくらでもあるぞ。
今度はフロントフォークからオイルが漏れる。
なんかこんな事ばっかりしてる気がしないか!?
フロントフォーク・オイルシールの交換
とりあえずエンジンはかかるようになったSRX。
次の作業はフロントフォーク。オイルがにじんでます。お約束です。
修理するには程ほどにお金が掛かるのと、直してもすぐには乗れないという事で面倒極まりないんですが
決意しました。よしっ!直すぞ!(そんな気合入れるほどの事でもないんですけど・・・)
フロントフォークのオイルシール交換手順はこんな感じ。
作業内容は大体DRと同じですが、センタースタンドがない分、多少面倒です。
1 フロントタイヤのアクスル(軸)ナットとブレーキキャリパーの取り付けボルトを緩める
2 ジャッキを使ってフロントを浮かせる
3 タイヤ、ブレーキキャリパー、フェンダーを外す
4 アッパーブラケットとハンドルのフォーククランプボルトを緩める
5 フォーク上端のキャップを緩める
6 アンダーブラケットのフォーククランプボルトを緩めてフォークを抜く
7 フォークキャップを外し、スプリング等を抜き、オイルを抜く
8 フォーク底のダンパー固定ボルトを外す
9 ダンパーロッドとスプリングを取り出す
10 ダストシールを外し、シール固定のリングを外す
11 インナーチューブを引っ張ってアウターチューブから引き抜く
12 シール類とスライドメタルを交換する
13 シールをアウターチューブに収める
14 フォークを組み、オイルを規定量入れる
15 油面の高さを合わせてからスプリングを入れる
16 キャップをして、バラした時と逆の手順で組み立てる
まずは交換が必要な部品をパーツリストから拾い出します。
オイル漏れの直接の原因はオイルシールが傷んでるからなんですが、フォークを分解するついでに他の消耗品も交換します。
交換するのは、オイルシール、ダストシール、スライドメタル(アウターチューブ側)、銅ワッシャ(フォーク底)の4点、
それがフォーク2本分ですから×2個づつ。それにフォークオイル。
ついでにインナーチューブ側のスライドメタルも交換したいのですが、それだけでは部品として出ません。
サスペンションに掛かるストレスはオフ車ほど大きくないからでしょうか?仕方ないのでこの部分は諦めます。
パーツリストで価格を調べると、部品は4000円でお釣りがくる位。
でも油断してはいけない。このパーツリスト、15年くらい前の物です。
前回のキャブ関係のパッキンでもそうでしたが、価格は恐らく1.5倍くらいになってます。
心の準備をして部品を発注。
あれ?でもフォークオイルの硬さがマニュアルに書いてないぞ? まぁバイク屋さんなら分かるでしょう。
フォークの分解作業に入ります。
タイヤを外す為にエンジン下にジャッキを噛ませてフロントを浮かさなければいけませんが、車体が細くて不安定です。
フロントを浮かせる前にアクスル・ナットやブレーキキャリパー固定ボルトを緩めておくのは
不安定な車体に強い力を掛けたくないから。予めある程度緩めておけばグラつくこともありません。
タイヤを外すにもブレーキキャリパーがなかなかホイールから外れません。
SRXには大径ローターの為ローターとホイールの隙間が狭い上に、
厚みのある対向ピストンの4ポッドキャリパーが付いてるので知恵の輪状態。
何とか外して、フォークも取り外します。
この時、フォーク上端のキャップを予め緩めておくのを忘れてはいけません。
フォークを車体から外してしまってからでは、余程の握力がないとインナーチューブが滑ってキャップを緩める事が出来ません。
ですから順序としてはセパレートハンドルのクランプボルト、三又上側のフォーククランプボルト、フォークキャップ、
三又下側のフォーククランプボルトの順で緩めて取り外します。
さて、毎度の事ながら問題なのはフォーク底からダンパーを固定しているボルトの取り外し。
内部構造が分からないので、とりあえずインパクトレンチで外しますが、SRXの場合はボルトが奥まってます。
DRの場合はほとんどフォーク底にボルトがあるんですが、SRXの場合はアクスルシャフトの奥にあります。
通常の六角ソケットでは届かないんじゃないかな?
そこは抜かりの無いよう計算してちゃんと六角ソケットを作っておきました。
DR用は10mm、SRX用は8mmですから、どっちにしても互換性はありません。
特製ヘキサゴン・ソケット。
右はDR用の10mm。左が今回作ったSRX用の8mm。
先(六角部分)が40mmくらいないとボルトまで届きません。
長くなるとネジレが心配なのと、インパクトで使うには少々貧弱かなとも思いますが、
8mmのボルトならそれほど締付トルクは大きくないんじゃないかな?
インパクトで緩めると、DRの時のような苦労は無く、あっけなく外れました。
分解してダンパーの形状を調べて、インパクトを使わなくても作業出来るように専用工具を作ります。
緩めるのは良いのですが、インパクトでは締め加減が分かりません。やっぱり手で作業した方が安心感がありますよね。
ダンパーは六角形の穴が空いたDRと良く似た形状です。簡単に出来るかと思いきや、六角穴径は23mm!
何じゃそりゃ!?23mmのナットなんて無いぞ!DRは24mmだったから、SRXも24mmなら改めて作らなくても済んだのに!
仕方なく2面幅24mmのM16のナットを0.5mmづつ削って、2面幅23mmに仕上げます。あぁ面倒臭い。
しかし専用工具を用意したお陰で今後の作業は苦労しなくて済みそうです。
新たに作ったフォーク分解専用工具。
美しいSRXに相応しい美しいメッキ仕上げにしてみました(笑)
メッキの丸棒部分はどうでも良いんですが、先端の23mm六角部が曲者です。
長さは500mmくらい。もう少し短くても作業は出来ます。
バラしたところでシール類を交換します。
マニュアルによると外したフォークにオイルを満たしてプレスで加圧してシールを抜くと書いてあります。
工夫すればプレスが無くても加圧する事は出来ますが、捨ててしまうのに新しいオイルを使うのは勿体無い。
そんな面倒な事は止めて、ダンパーを外した後にシールのロックリングを取ってインナーチューブを思いっきり引っ張る!
2、3回コンコンと引っ張ると、シールが抜けます。
作業は至って簡単なんですが、難関はやはりオイルシールの挿入。
その前にインナーチューブを磨いておきましょう。錆や傷があると折角の新品のシールが傷物になってしまいます。
スムーズに入るようにフォークオイルを塗布して、スタイドメタル、ワッシャー、オイルシールの順にインナーチューブにハメます。
インナーチューブにダンパーを入れ、スピンドル(カラーみたいな物)を組んでアウターチューブに挿入。
仮組しておいてシールをアウターチューブに収めます。
今回交換した部品。
右が古い物、左が新品。って、見ても良く分かりませんね。
まぁ一目で異常が分かるようなら、オイルはダダ漏れ状態のはずです。
インナーチューブ側に付くスライドメタルはインナーチューブを買わないと入手出来ないので
今回は交換しません。
シールの挿入作業はこんな感じ。
実際は立ててやってますが、1人じゃ撮影出来ないので仮に置いてみました。
こときちが立てて踏ん張ってる所をイメージして下さい。
シールの対角線上を両側から同時にグッと押さえ込みます。かなり強く押し込まないと入りません。
この時インナーチューブに接しているリップ部分を押して傷めない様に。
シールが少しでもケースに入ったら、あとは片方づつ交互に叩いても入ります。
グイグイ押し込むと、おっ・・?案外簡単に入ったぞ。
スムーズに事が進んで気を良くしていると、とんでもない失敗をしでかした事に気付いちゃいました。
ダンパーを先に組まなければいけないのに、シールを先に組んでしまったんです。
後からダンパーを組もうとしてもスピンドルはインナーチューブの奥に入る物。不可能です。
折角組んだシールをもう一度分解し、ダンパーを組んで、再びシールを挿入。
サービスマニュアルは良く読みましょうね。トホホ・・・(-_-;)
片側を組んだところで、反対側も同様に行います。
今度のフォークは古いオイルなのに綺麗な赤色してます。オイル漏れすると極端に汚れるみたいですね。
それはともかく、今度のフォーク、新しいシールがなかなか入りません。
新しいシールの上に古いシールを乗せて叩くという手もありますが、SRXの場合シールの収まる位置が奥まっているので
叩き込むと古いシールが取り出せなくなってしまいます。
マイナスドライバーでグイグイやってもなかなか入らず、痺れを切らせてドツキに入ります。
といっても手頃な叩き込み用の治具は無いしなぁ。
そこで古いスライドメタルを少し広げて径を大きくし、シールの上に乗せてメタルを叩く!叩く!この野郎!
ふぅ〜、何とか入りました。ε-( ̄o ̄;)
漏れが生じた方のフォークはシールの収まる部分が緩いのかも?精度が甘いのか!?また近いうちに漏れるのか!?
シール挿入用即席特殊工具(笑)
古いスライドメタルを広げてシールの径に合わせます。
銅製?なので、手で簡単に曲げられます。
この時もシール内側のリップに当たらないように気をつけます。
シールを入れたらダンパーとアウターチューブを本締めします。
これも実際は立てて行ってます。
こときちが立てて締めてるところを・・・<もうええっちゅーに!
美しい専用工具のスマートな使用方法がお分かり頂けるでしょうか?
ボルトが奥まった位置にありますが、六角レンチのボールポイント部では本締めしないように。
専用工具を使い手で締めるとパッキン(銅ワッシャー)がムニュッと潰れていく感じが分かります。
締め加減が分かると安心感があります。
シールと内部を組んだところで、フォークオイルを規定量いれます。
SRX−6のオイル量は278cc。オイルを入れたらインナーチューブを数回ストロークさせてエア抜きをします。
フォークはカートリッジ式ではなく単純な構造なので、エアーもすぐ抜けそうです。
油面を規定値(600は198mm)に合わせてスプリングを入れ、キャップをしたら終了。
となりますが、マニュアルにはフォークを車体に取り付けてから油面を合わせると書いてあります。
えっ?、普通は油面調整後に取り付けじゃないのか?
だって車体に取り付けるとフォークは当然傾きますよね。
すると、どの位置で油面を合わせるかによって油面の高さにバラツキが出るのでは?
良く分からないので、普通にフォークを直立させて油面を合わせました。
左右でバラツキが出るよりはマシでしょう。
あとは車体に取り付けて、タイヤ等を戻すだけ。
アルミ製中空ホイールは軽くて取り付けも楽チン。
ホイールを外したついでにブレーキキャリパー等の掃除しておきましょう。
整備後の組み付けで1つ気を付けたいのは、フォークのセンター出し。
SRXのフロントフェンダーにはスタビライザーを兼ねたような金属製のブラケットがついています。
最初にこのフェンダーを固定してしまうと、フォークがズレた状態で取り付けられてしまう可能性があります。
まずフェンダーは仮組し、アクスルをしっかり締めた後、ブレーキを掛けて車体を大きくゆすりながら
フォークを数回ストロークさせてフォークが落ち着く所を探ります。
その後アクスルの固定ボルト(フォーク底の割になった所)を締めて位置決めし、最後にフェンダーを本締めします。
そうすればフォークに変な力が掛かる事無く自然な状態で組み付ける事が出来るんじゃないでしょうか。
フォークのセンター出しは他にも方法があるようですが、どの方法にしろ行った方が良いです。
左右のフォークがズレた状態で組んでしまうと、サスペンションがストロークする時の抵抗になるばかりでなく、
シールに偏った応力が掛かり傷める可能性もあります。
特にストロークが長いオフ車の場合はわずかな取り付け誤差でもフルストローク時には大きなズレとなるため
丁寧な作業を心がけましょう。
それともう1つ、仮組したボルトを本締めするのを忘れないように。
経験上、本締めするのを忘れてブレーキキャリパーが走行中に脱落したことがあります。
そんなヘマをする人も多くは無いでしょうが、整備後に外したボルトの締付を確認しましょう。
今回の出費
オイルシール 49A−23145−00 570円×2個
ダストシール 33M−23144−00 750円×2個
スライドメタル 30X−23125−00 580円×2個
ガスケット 509−23158−LO 340円×2個
オイル ヤマハサスペンションオイル#10 1L 1350円
ヘキサゴン・ソケット KTC 8mmソケット加工 500円
専用工具 こときちハンドメイド ?円
やはり部品の値段はかなり上がってます。オイルが安いのは、せめてもの救い。
さぁ、車体は完調になりました。
が、走れません(-_-;)
どこかナンバー無しでも気軽に走れる場所無いかなぁ?
車検&任意保険となると費用も馬鹿に出来ませんしねぇ。