HONDA TLR200の整備記録 vol.1
諸整備/修理
イタリア製トライアルバイクを手放し、代わりにホンダのトライアルバイクを手に入れました。既に23年落ち車&10年近い放置車両。そのまま何もせずに乗れるはずもなく。
諸整備 とは言うものの、前オーナーは僕のバイクのお師匠さんで、車体はかなり程度が良く、また売り払うつもりだったので一通りの整備が済んだ状態で、一般的な車両よりは相当マシな状態です。見た目はとても23年落ちには見えません。 お師匠さんが整備しているので、不良個所は既に分かっています。整備が必要な個所は以下の通り。 キャブレター エアーフィルター チェーンテナショナー オイル交換 リヤサスペンション ハンドルグリップ ステアリングステムのグリスアップ シートカバーの破れ etc キャブレターはジョイント部分のOリングの劣化、フロートの腐食等。エアーフィルターも劣化して使用不可。チェーンテンショナーのスリッパ部分が劣化して破損脱落。オイルは10年モノ。リヤサスペンションのダンパーの抜け。ハンドルグリップは純正&経年劣化でツルツル。シートカバーも破れがありますが、カバーのみ入手できない為それなりに費用が掛るので、今後直すということでとりあえずは走れる状態にする事を優先させて残りの整備を行います。 キャブレター シートを外し、タンクを外すとキャブが外せます。キャブ〜エンジン間のマニホールドごと外さないと外せません。 TLRのキャブレターは真鍮製のフロートが使われています。僕はこんなフロートはお目に掛った事がありませんが、古いバイクにはよく使われているそうです。コレが腐食して小さな穴が空き、ガソリンガ内部に入って正常な浮力が得られずにオーバーフローする、というトラブルです。お師匠さんが仮補修してくれましたが、新品の部品が手に入るので新品に交換しておきます。真鍮製フロートの場合このトラブルはかなり有る様なので、古い車両は交換した方が良いでしょう。 真鍮製のフロート。 工芸品というか骨董品的な雰囲気(笑) 手間が掛ってそうなんですが、それほど高くないです。 どうやって作ってるんでしょうね。凄いぞホンダ。 綺麗ですがトラブル多いです。 キャブレター周りのシール類もついでに交換。インテークマニホールド部のOリングは単品、フロートチャンバーやキャブ〜マニホールド間のOリング等はガスケットセットになります。フロートチャンバーはネジ止めではなくて金具で引っ掛けるタイプ。シャッターの様なチョーク機能など、最近のキャブしか見た事がない僕には目新しい感じ。 TLR200のキャブレター&マニホールド。 インテークマニホールドはゴム(樹脂)製ではなくて金属製。 ハンターカブ等と同じ構造らしいです。基本はカブ? キャブレターの流用は難しくなりそうですが、 インシュレーターが劣化してひび割れるというトラブルも起きないので 有難いといえば有難いかも。
エンジンオイル交換 オイル交換はアンダーガードを外し、エンジン左下の24mm角のキャップを外して行います。真っ黒のオイルと共に、何だか金属片が出てきましたよ(-_-;) 鋳鉄のカケラみたいですが、見なかった事にしましょう。キャップの中には茶こしの様な金網のフィルターが有りますが、オイルフィルターらしき物が見当たらないのでコレがフィルターなのでしょうか(笑) 新しいオイルを入れるフィラーキャップはキックアームの奥の辺りに有って、オイル入れ難い&キャップ外し難いです。 キャップ&フィルター。 なんだか心配になってしまう位単純な構造ですが、 エンジン自体のトラブルはあまり聞かないので相当タフなのでしょう。 キャップのOリングは新品に交換しましょう。 Oリングで止めるので、バカ力でキャップを締める必要はありません。
リヤサスペンション 見た目は普通なのですが、リヤサスのダンパーが抜けているそうです。ロッド部分からオイル漏れしていれば一目瞭然ですが、漏れていない、もしくは抜けきってしまった場合はスプリングを外してみないと異常に気付きません。お師匠さん、わざわざバネを外して点検したみたいです。 サスペンションユニットASSY(1式)で交換すれば簡単なのですが、お金が掛るのでダンパー部分のみを買って、スプリングやその他のパーツは古い物を利用します。上側のゴムブッシュ(取り付け部分のゴム)とバンプラバー(ロッド下端に付いてるゴム)は一応新品にしておきます。スプリングを外すのに少々力が要ります。2本サスなので片方づつ外して作業できて超簡単。 抜けたダンパー(上)と、新品のダンパー(下)。 ガス圧なのかバネなのか構造は分かりませんが、 ダンパー単体でもロッドが伸びる方向に力が掛っています。 つまり、ロッドが縮まった状態を保持するのは異常。 外見だけでは判断出来ない所なのでバイクを買うときは注意。 サスペンショニュニットを組み直し、取り付けるのですが、古いダンパーには「INSIDE)というシールが張られています。取り付ける向きがあるようです。よくよく見ると、上側の取り付け部分がオフセットされています。逆向きに取り付けるとサスペンションユニットが斜めになるかも。 新品のダンパーを組み付けると、凄い! 今までヘコヘコと動いていたリヤがしっかりダンパーが効いてます。これが正常だったのね。 古いダンパーに張られたマーキングシール(左)。 INSIDEと書かれてるので、シール面を内側にするようです。 取り付け部分が若干オフセット(右にズレている)されています(右)。 サスペンションASSYの場合、シールが張られているかは分かりませんが 新品のダンパーにはシールが張られていないので整備の際は注意が必要。
その他 エアーフィルターを交換。スポンジ状の湿式フィルターです。 チェーンテンショナーのスリッパーゴムを交換。ついでにドライブチェーンを外し、洗浄してギヤオイルに漬け込んでみました。動きは良くなりましたが、しばらくはオイルが飛び散って大変。スプロケットはまだ充分使えそう。 ハンドルグリップを交換。TLMのグリップが安くて良いと聞いたので買ってみました。グリップエンドのカバー(プロテクター)はハマっているだけなので、走行中に取れてしまいそうな気がします。一応接着剤を付けてみましたが気休めっぽい。本当はハンドルバーもアルミに交換したいのですが、予算的に厳しいので今後ということで。 TLMのグリップ。 ワイヤリングの溝が根元寄り(ツバ寄り)に1ヶ所しかありません。 オフロード用だと3ヶ所くらいあるのですが トライアルはそういうものでしょうか(念の為2ヶ所固定してます)。 握った感じは悪くないです。 レンサルなどのプレミアム物と比べると半額くらいなので 特にこだわりが無いのならお買い得。
ステアリングステムのグリスアップをしました。ハンドルがやけに軽く感じるので、ステムナットが緩んでいるか、グリス切れの予兆か、フロントアップの練習もしたいのでどちらにしろ一度整備します。TLRは上側下側共にボールベアリングです。負荷に弱いのでグリス切れ、緩みは禁物です。特別な作業はありませんので画像もありません。ベアリングのボールは上下共各18個づつ。リテーナー(保持器)は無いのでバラバラになります。整備中に落としてなくさない様に注意。 シートはとりあえず破れ補修シールで誤魔化してます。お金が出来たら次はシートですね。
登録、保険等の手続きも済んで、とりあえず走れる状態になりました。これからが楽しみですよ。
今回の出費 91302-200-000 Oリング 270円 (↑ 91304-HB3-003 に番号変更) 91303-107-000 Oリング 155円 16010-107-710 ガスケットセット 730円 (↑ 16010-107-305 に番号変更) 16013-286-014 フロートセット 1,300円 17211-KJ2-003 エアクリーナーエレメント 630円 52183-KJ2-000 テンショナースリッパー 400円 52410-KJ2-003 リヤーダンパーCOMP @8,750円×2 52488-331-003 ジョイントラバーB @530円×2 52517-395-670 ストッパーラバー @130円×2 TLM220用部品 53164-KR8-000 グリップエンドカバー @130円×2 53165-KR8-000 Rハンドルグリップ 490円 53166-KR8-000 Lハンドルグリップ 490円 送料 600円 代引き手数料 300円 登録費用(自賠責保険/ナンバー登録等)18,000円 計 42,445円
部品の価格は業者によって変るし(間に入る商社の数やマージンの比率によって)、毎年価格が改定されるので目安です。今回は通販で購入。 Oリングはキャブマニホールドと、オイルドレン。ガスケットセットはキャブレターの物。フロートチャンバーやキャブ〜マニホールド間のOリングなどが単品で買えないのは難点ですが、さほど高くないので整備の際は1式交換した方が良いでしょう。 凝った真鍮製フロートは意外に安いです。ピンが付属。 テンショナースリッパーはスイングアーム下からチェーンの弛みを押さえている物。今回スライダーは交換していません。 リヤダンパーCOMPはリヤサスのダンパー部分のみ。ちなみにサスペンションASSYY(1式)だと13700円。片側5千円両側で1万円が惜しい為にダンパーのみ交換しました。なお、TLR200のダンパーは効き過ぎて良くないらしく、TL125の最終モデルのサスを流用するのがセオリーの様です。発注後にそれを知ったので、残念ながら200の効き過ぎダンパーです。 ジョイントラバーBはサス上側取り付け部のゴムブッシュ。ストッパーラバーはサスのロッドについているバンプラバー(底付きした時の緩衝用ゴム)。劣化してるでしょうから新品に替えておきます。 ハンドルグリップはTLMの物を使用。黒山(父)が推奨(絶対的な性能ではなくコストパフォーマンスの点で)してただけあって、コストパフォーマンスは高そう。 なんだか結構お金掛ってます。車両価格も入れると結構な金額になります。いくら見た目が良くても古いバイクの場合は標準状態に戻すのに相応の手間とお金が掛ります。それがちゃんと分かっていれば良いのですが、オークション等で見た目が綺麗とか、調子が良いとか言うのはアテにならないので気をつけましょう。
部品の購入、整備、改造等は、自己責任で行って下さい。ここに書かれている事を参考にして被害に遭われても、当方は一切責任を負いません。 |