ビッグバードミーティング

2002年9月

今年で2回目のBBMに参加した。

 

去年初めて開催されたというBBM(バリバリマシンじゃないよ。セサミストリートでもありません)。

神奈川のコマツ松田試験場でフラットダートを基本とする特設会場を、500cc以上のビッグオフが走るというもの。

参加者は、これまた雑誌やwebで見かけるツワモノ揃い。

1回目を雑誌やwebで見て以来、気になっていたイベントです。

普段なら「そんな遠くまでわざわざ出かけるのは金も掛かるし面倒臭い」と思うところですが、

「BBMで走りたい」という気持ちがどんどん大きくなってくる。

どうしても走りたいという理由は2つ。

1つは「上手い人の走りを間近で実際に見てみたい」というもの。

巨大なビッグオフを自在に操る人が世の中には居るとは聞くものの、その実際の走りを見たことがありません。

一体どのくらい凄いのか、自分とは一体何が違うのかを見極めたい。

そもそもアフリカツインやBMW−GSがダート走ってるところを見たことなんてありません。

2つ目は「自分のレベルを知りたい」ということ。

そこそこDRに乗れるようになったつもりでも、一体自分のライディングがどの程度なのかサッパリ分かりません。

なにしろ比較する相手が居ません。

周りのライダーはどんどんバイクを降りていく中、ビッグオフに乗る物好きなヤツなんて居るはずもありません。

自分は速いのか遅いのか?上手いのか下手なのか?

ビッグオフが一同に集まるこのイベントで走れば、おのずと答えが出るんじゃないか。

しかもネーミングが「ビッグバードミーティング」とくりゃ、「砂漠の怪鳥」の異名を持つDRに乗ってる私としては

出ない訳にはいきません。あれ?ファラオの怪鳥だったっけ?まぁいいか。

ところが、意気込んだこのイベントの日程を知ったのは、開催日の10日ほど前。

しかも私が乗るべきマシンは、いまだ整備でバラバラ。

レースではないにしろコースを走る走行会ですから、マシンに掛かる負担はツーリングレベルではないはず。

大事なマシンを壊す訳にはいきませんから、こんな時は1ヶ月くらい前から念入りに整備して万全にしておくのが

望ましいのですが、私のDRは譲り受けたばかりの物で、いまだに基本整備中。

このままでは試運転もろくに出来ない状態で参加することになってしまいます。

しかも普段から走りこんでるマシンじゃないから、どんなトラブルが起きるか予想がつきません。

さらに、9月には別のミーティングが予定されています。主催者の内の1人ですから、欠席する訳にはいきません。

折角整備したDRをコース走行で壊してしまう可能性もあります。

今回は諦めてバイクを温存し、次のミーティングに向けて完調にしておくのが望ましいでしょう。

だから普通ならこんな強行日程は諦めて断念するところですが、

私にはどうしても走らなければいけないもう1つの理由があったのです。

 

実は最近悩んでるんだよね。

悩んでも仕方が無い事なのに、いつまでも切り替えできない。

こんな事ではいけない。前を向こう。と思ったときに、自分に出来る事は「バイクに乗ること」しかありませんでした。

フラストレーションのはけ口とか、モヤモヤをスッキリさせる為にバイクに乗ってる訳じゃありません。

全く不本意ではありますが、今出来ることといったらバイクに乗ることくらいしか無かった。

暗い・・暗くて重くて笑えない展開になってきました。

でも走るんだ!例え奥さんが嫌な顔をしようとも、子供が「パパァ」とすがって切ない顔をしようとも、今回だけは譲れない。

私が目指すのは有名なテクニカルライダーを抜く事じゃない。自分を振り切る為に走るんだぁ!(ハァハァ・・・)

 

妙に独りで興奮気味ですが、奥さんの機嫌を伺いつつ、子供の相手もそっちのけで、

なんとか当日1週間前に実走段階まで漕ぎつけました。

多少気になる所が無いわけでもないですが、なんとかまともに走れそうです。

バイクはとりあえず走れるとして、新たな問題が。

そういえば3月の事故からまともに走ってないので、5ヶ月以上のブランクがあったんでした。

バイクが変わった事もあり、ライディングがぎこちないです。こんなんで大丈夫なのか?本当に散りはしないのか?

 

台風が接近してることもあり、前日の天気が不安定です。

そんな中、「明日は晴れ」の天気予報を信じて軽トラにDRを積みます。

自走しても良いのですが、どうせDRでも軽トラでも高速料金は同じだし、巡航速度も大差ないし、

快適さも大差ないし、燃費も軽トラ13kmにDR16kmとそれ程の差はないし、

信頼性はというと総走行距離は軽トラ8万kmにDR7万kmで大差ないし・・・

なんてことでしょう。軽トラとDR、何もかもがどっこいどっこいです。

それなら荷物も積める軽トラの方が少しはマシじゃないかとの判断。

どうせDRで高速走っても楽しくないし、もしBBMで壊しても帰ってこれるという点も有利です。

当日は2時起床。なんだか激しく雨が降ってるんですけど(-_-;) 本当に晴れるんでしょうか。

小雨になったのを見計らって、タイダウンを締め直し、道具を積み込んで出発したのが2:30。

名神大垣インターから高速に乗り、東名大井松田インター目指して深夜の高速をひた走る。

軽トラでも高速道路を走るのはそれほど苦痛じゃありません。

非力な軽トラでは苦手な発進停止を繰り返すこともないし、路面の継ぎはぎもないから跳ねられるとこもないし、

コンスタントに90kmくらいを維持して走ると快適とは言えないまでも苦痛ではありません。むしろ一般道よりずっと快適です。

ただし深夜の高速走ってる車なんて飲酒の大型トラックかオヤスミモードに入った一般車くらいでしょうから

衝突不安全ボディの軽トラで走るのは生きた心地がしません。

そう言ってるうちに自分がオヤスミモードに。浜名湖SAにたどり着くまえにダウンして、仮眠を取ります。

15分くらい寝たらスッキリ。それは良いけど狭い軽トラの室内で寝たら寝違えちゃったよ。イテテ(-_-;)

雨も上がって空も明るくなってきました。浜名湖SAでちょっと休憩。

あとどれ位で着くのかな?と高速の地図を見ると・・・げっ!まだ半分しか走ってないじゃん( ̄◇ ̄;)

おおぉっ!?大井松田ってそんなに遠いのか!?<ちゃんと確認しろって

休憩もそこそこに走り出します。ひた走る。延々走る。まだまだ走る。いい加減にしろって位走る。

折角の清々しい朝ですから、富士川SAで止まって休憩。今日は富士山が良く見えます。

富士川SAで休憩。富士山をバックに・・・って写ってませんね。

朝方の雨もすっかりやんで、良い天気です。

気分はラジオ体操のテーマ曲。

やっとの思いで大井松田インターまでたどり着きました。何だか既に疲労感が。

インターから会場まではすぐ近くです。なかなかアクセス良い所です。

8時過ぎに会場に到着。まだ朝の8時だというのに、もうクソ暑いです。

車を停めてバイクを降ろしますが、周りはエンデューロに参加する人達ばかりで何だか場違いな雰囲気。

程なくして、ちらほらとビッグオフが来るようになりました。

あぁ良かった。本当にココでBBMがあるんだ(笑)

そのうち続々とビッグオフが到着。テネレに乗るogwさんも予定通り9時頃に到着。

デカイのが一杯。

ダートを走るビッグオフをこれだけ見たのは初めて。

全体的にはアフリカツインとBMWが多いです。

ガジバのエレファントなんて初めて見ました。感涙ものです。

ブロックタイヤ履いたビッグオフなんて、そうそう見かけるものじゃないです。

会場のコマツ松田試験場。

コマツと言えばパワーショベルとか作ってる、

÷を立てた様なマークのメーカーね。

ライダーの為に開放してくれるとは灘と太っ腹な。有難いですよね。

企画しているモトショップ五郎さんも親切で良かった。

ちょいと(かなり)遠いのが難点。

見るとこのイベント、キャンギャルまで居るじゃないですか。素晴らしいです。やはり都会は違います。

いやいや、キャンギャルと戯れるためにここまで来た訳じゃないぞ。

一緒に写真を撮ってる人を見てうらやましいなんて思わないぞ。自分も一緒に、なんて思わないぞ。チクショー!

しかし暑い。晴れたのは良いけど、この暑さはたまりません。日陰も無いし。

寝不足と暑さで眩暈がしそう。

BBM午前の部は10時30分から。受付を済ませて、談話タイム。

今回のBBMは午前と午後の部がありますが、午後に走行すると帰りが遅くなるので、私は午前のみとします。

ミラーを外したり、割れモノにテーピングしたりして準備を済ませ、スタート位置へ。

あぁ、凄いなぁ。周りを見ると巨大なオフ車が一杯。大柄なはずのDRが小さく見えます。

よし、他のライダーの走りを目に焼き付けるのだ。

スタートの旗が振られます。と言ってもレースではないので、まずは様子見といった感じ。

しかしカラカラに乾いた路面は砂埃がひどくて前が見えません。

1周してコースの状況を確認してから、ペースを上げます。

レースじゃないけど、こんな遠くまでツーリングに来た訳じゃない。1時間キッチリ全開走行だ!

と思ったら、マシントラブルが。お尻の下から爆音が聞こえます。

見ると、お手製のエキパイアダプターがズレてサイレンサーの口から外れてました。

付いてるのが爆音サイレンサーとはいえ、アダプターが外れては直管状態です。

あははは、レーシングサイレンサーでもちゃんと消音してるんだ(笑) いや、笑ってる場合じゃないって。

「バボバボバボー!バンバンババン!!←バックファイヤー

てな感じです。ゆっくり走っても前を走るライダーが威嚇されてるのと勘違いしてます。あぁ御免なさい。申し訳ないっす。

慌ててピットインして、アダプターを元に戻し、ズレ止めのボルトを締め付けておきます。

再度コースに戻り、走る走る。片道6時間弱かけて来てるんだ。元は取らねばなるまい!<元って何だ?

途中、謎のバイクとデッドヒートになる。何だ?この見たことも無いマシンは?

と思ったら、どうもスポーツスターらしい。スポーツスターって、あのハーレーの!?

それがDRと互角に走ってます( ̄◇ ̄;) 一体あんた何者なんだ!?もう何でもアリ!?やっぱり凄いぞBBM。

そうこうしてるうちに、ところどころで大きな車体が転がってます。

すっげーなぁ! アフリカツインやGSが転がってるの、初めて見たよ<感心するなって

あぁ、やっぱり他の人も転ぶんだ、と妙に安心していると、お約束で自分もコケる(-_-;)

それほどひどいコケ方ではなかったので再スタートしようと思ったら、ブレーキペダルが上向いてます。

ステップに踵を乗せた状態でペダルを踏めないから、簡単にロックしてしまいます。それで再びピットイン。

丁度ogwさんも戻ってきたところで(と言うかコケたのを見て心配してくれた?)、作業を手伝ってくれました。

とりあえずモンキーでペダルを修正したのは良いんですが、何だかエンジン濡れてません?

おおおぉぉ!?良く見るとフィラーキャップが緩んでオイル漏れてます。

振動で緩んだのか、さっきの転倒で緩んだのか?キャップの周りは砂だらけ。

とりあえずキャップ周りを掃除してオイルを追加しますが、中に砂が入ってなければ良いんですが・・・。

て言うか、この時点で走るのやめればいいんですが、まだ走るの?

ここまで来たんだから走りますよね、やっぱり。時計を見ると残り時間は20分を切ったくらい。

コースに戻ると青いアフリカツインに抜かされました。

よし、腕試しだ。アフリカツインの前にはF650GSダカールも見える。なかなか速いぞ。

ツワモノの走りを間近で見るのだ!と思ったら、砂煙に巻かれて何も見えん!

3周ほどで完全に見失ってしまいました。

そうこうしているうちに、時間終了。

早朝のわずかな時間を縫って苦労して仕上げたDRは、1時間で埃だらけに。みんなのバイクも埃で真っ白。

使用後。

高価なBMWも泥だらけです。アッパレ!

あれれ?走行時の画像は?と思うでしょう。

だって走ってるから撮れません。

どなたか走行時の画像をお持ちの方、分けてください。

 

さて、はるばる神奈川までやって来て、自分の目的を達成出来たか検証してみましょう。

1時間走る為に往復10時間以上もかけてやって来たんです。

何らかの収穫がなければ「ただのバカ」としか言い様がありません。

まず「上手い人の走りを間近で実際に見てみたい」という点。

ビッグオフの走りは迫力満点ですが、土煙で何も見えませんでした(-_-;)<オイ

では「自分のレベルを知りたい」という点は。

正直なところ、よく分かりませんでした(-_-;)<オイオイ

ビッグオフでダートを走ると言っても走行会な訳ですから、ペースもまちまちです。

また、コースも3つのフラットダートを左コーナーで繋げたような感じですから、

アクセルさえ開けれれば比較的ハイアベレージで走れてしまいます。

(テクニカルなインフィールドコースもありましたが、こちらは泥水が溜まってたのでパス。

折角グリスアップしたリヤサス等を水に漬けてしまうのもなぁ。え?言い訳臭い?)

コース幅もかなり広く、減速に失敗しても谷に転落なんてこともありませんから、マージンも削れる。

そこを目一杯で走る私と、周りのライダーを比較することは出来ません。

しかし一部のライダーと比べて分かった事があります。

それは「コーナーが遅い」ということ(笑)

アフリカツインと数週走る中で分かったのは、ストレートではそれほど圧倒的な違いは無いということ。

シングルのDRは不利かと思いましたが、フラットダートのストレートを走る限りは、その差は小さいです。

アフリカツインがフルに走ってたかどうかは怪しいですが、先のダカールを追いかけていたように見えたので

それ程手を抜いていたとも思えないという勝手な解釈をしておきましょう。

しかしそれでも離されてしまうのは、コーナーリング以外に考えられません。

向きを変えるのが遅いから、結果的にアクセルを開けるタイミングも遅れて差が開いてしまいます。

今回はストレートと左コーナー3つという極めて簡単なコースレイアウトでしたが、

これがもっとテクニカルなレイアウトなら、差はますます広がっていたでしょう。

と、ここまで考えて、「あれ?以前も同じこと考えなかったっけ?」と気付く。

あぁ、そう言えば以前もエンデューロレースや走行会で気付いてたじゃん(-_-;)

という事は、昔から何も変わってなかったってことなのね。と言うより今まですっかり忘れてたのね(-_-;)

一体今まで何やってたんでしょうか?私。

じゃあ悩みの方はと言うと、解消した様な、余計に悩みが増えた様な・・・

 

目的の達成度にはいささか問題がありそうですが、たくさんのビッグオフと走れただけでも充分楽しかったです。

こんな機会は滅多に無いですからね。

沢山のビッグオフユーザーに会い、一緒に走れただけで充分収穫があったと言えるでしょう。

次回はアフリカツインとダカールにチギられまいと、富士山に誓うのでした(その前に練習しろって)。

 

帰宅後に、週末に交換したばかりのオイルを抜きます。

砂が入っているとマズいので。今さら遅い気もしますけど。

新品のオイルでフラッシングしてるようなものですね。金も無いのに何やってるんでしょうか。

加えて、あの砂埃の中を走ったのですから、フィルターも交換しないと。

DR−BIGは乾式フィルターなので、洗浄して再使用することは出来ません。

エアーブローで掃除するか、潔く交換するかですが、今月はまた高速走行が控えているので交換するのが無難ですね。

ニューDRを手に入れてから、子供の相手もそっちのけでバイク整備ばかりしてます。

これじゃあいけないよな。程ほどにして子供の相手もしてあげようと思うのでした。

 

今回の出費

高速料金     名神大垣〜東名大井松田    5450円×往復

走行料金     BBM(午前のみ)      2000円

ガソリン代    軽トラ往復分         5100円

飲食費      昼食、ドリンク他        800円

土産代      奥さんのご機嫌取り用      500円

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