SUZUKI DR−BIG(DR800S)

乗らなきゃ分からないDR−BIGの全てを告白しよう。

これはバイク自慢じゃない。

ビッグオフとはどんなものか?そんな興味を持った方へのアドバイスだ。

machine spec

長×幅×高:2255×945×1295mm

最低地上高:235mm  軸距離:1510mm  乾燥重量:185kg

キャスター:61度40分  トレール:136mm

フレーム:セミダブルクレードル

始動方法:セルのみ(手動デコンプ)

エンジン:空油冷(SACS)4サイクルSOHC4バルブ単気筒779cc

ボア×ストローク:105.0×90.0mm  圧縮比:9.5  点火方式:CDI

スパークプラグ:NGK DPR9EA−9 ×2

最高出力:52.5ps  最大トルク:6.05kg-m

キャブレター:BST33SS ×2

1次減速比:1.848  最終減速比:3.200(ドリブン48/ドライブ15)

ギヤ比1速:2.461 2速:1.578 3速:1.200 4速:0.956 5速:0.800

ドライブチェーン:520 116リンク

ハンドル切れ角:43度  最小回転半径2.3m

タンク容量:29リットル(リザーブ7.0)

タイヤサイズ:(F)90/90-21  (R)130/80-17

燃費(実測):街乗り16L/km  高速18〜20L/km

 

modify

金かかってないモディファイばかりですが・・・

エンジン関係

アナログ油温計(SRX後期型用加工)

アーシング

エンジン塗装

吸気系

純正キャブレターピストンバルブ加工

ブレーキ関係

ステンメッシュブレーキホース(F)(前々オーナー)

BRAKING社製フロントブレーキディスクローター

足周り関係

オーリンズ製リヤサスペンションユニット

RK EXCELリム(前)

その他

GIVI製フロントロングスクリーン

レンサル製アルミハンドルバー(エンデューロ−HI)

ファイブスター製センタースタンド

サイドスタンド、クラッチレバー、デコンプレバー安全スイッチキャンセル

 

DR800Sの満足度

外観    ★★★★★  好き嫌いが分かれるでしょうが

エンジン  ★★★★☆ デカくて重くて非力だけど年式相応か

車体    ★★★☆☆ サスペンションとブレーキが貧弱

走行性能 ★★★☆☆ その割には良く走る方かも

トータル  ★★★★☆ ライバルが少ないので救われてるかも?でも個性的なファンバイクの1つ。

全般

外観はとても特徴的ですが、造りは至ってオーソドックス。ポジションが楽でツーリングや街乗り程度の使い方ならとても扱いやすいです。ビッグタンクやカウリングがあるためとても大柄に見えますが、前後長は250クラスとさほど変わりません。ロードバイクと比較すれば重すぎるというレベルではありませんが、オフ車として考えると重過ぎ。普通の市販トレールが110〜130kg程度なのに比べて、DR−BIGは180kgもあります。オフ車で50kg以上の重量差は尋常ではありません。重量は走ってしまえば問題無いと良く言われますが、装備重量では200kgを越え、通常のオフロードバイクの様な軽快でシャープな動きはしません。また、車高が高い分ロードバイクよりも重心が高く、取り回しの時は数値以上に重さを感じます。独特のスタイリングやビッグシングルのフィーリングはとても良いのですが、ちょっと重過ぎるのが難点。普通のオフロードバイクから乗り替えるなら、それなりの覚悟をしておいた方が良いでしょう。

車格は大柄ですが、同類のヤマハ・スーパーテネレやホンダ・アフリカツインなどと比べるとシングルだけあって比較的コンパクトで安心感があります。シートは幅広で座り心地は良く、リヤタイヤを17インチにする事でシート高を抑えています。足付きはそれほど良くありませんが、広いシート幅なのに本格オフロードの250クラスと変わらない事を思えば上出来。身長177cmの僕が跨って、かかとが少し浮くくらい。ただ、オーリンズのリヤサスに交換したら車高が少し上がり、爪先立ち状態でかなり不安定になりました。

エンジンは油冷(空冷)のSOHC4バルブ単気筒779cc。初期型の750(727cc)からストロークのみを6mm伸ばし、800(779cc)にしています。データ上では750より0.5馬力と若干のトルクアップに留まっていますが、実際の感じは一回りトルクフルな感じ。でも、排気量から想像するほどの暴力的なパワーではなく、リッターマルチの様にぶっ飛ばされる様な事はありません(舗装路では)。また低速でのトルクが薄くて、日本の様なタイトな林道や、スリッピーな路面には向いていない印象。

29リットル入る燃料タンクは左右2分割になりますが(整備性向上の為らしい)、分割出来てもやっぱりデカく、分割すると不安定になるので整備性は良くありません。タンクを外す際は、出来るだけガソリンを減らしておかないと青筋を立てることになります。91年のフルモデルチェンジ以降は24リットル入りの一体型タンクに変更されています。個性的なカウルも整備には邪魔で、エアーフィルターを外すのにタンクが邪魔になったり、キャブレターを外すのに周辺パーツをバラバラにしなければいけなかったり、タイヤを外すとアクスルのカラーがポロリと落ちたり、オフ車としての整備性は劣悪。パリダカ・レプリカと称されてはいますが、実際の作りを細かく見ると市販車はツーリングバイクと考えた方が良さそうです。

前期型は88〜90年製までですが、外観は大差ないものの、高年式車ほど細かい点が改良されています。地味な変更がほとんどですが、各部の信頼性向上につながっています。中古車はただでさえ少なくて見つけるのが困難ですが、同じ車種ならなるべく高年式がお勧め。とは言え、DR750Sも試作車みたいな荒削りな面や、妙に凝った所もあり、DR−BIGの中でもスズキの意気込みを一番感じるモデルとも言えます。

 

街乗り

大柄ではありますが、街乗りの使い勝手は良いです。ハンドルもかなり切れますが、メーター付近のハーネスをきちんとまとめていないと無理して断線やショートする危険性があるので注意が必要。ツーリング時の荷物の積載や、ちょっとした買い物にはキャリアが役に立ちます。

ガソリンタンクのキャップにカギが無いのが難点。ハンドルロックもイグニッションキー一体式ではなく、ステアリングステムに付いている為操作性は悪いです。この辺の使い勝手は後期型で改善されています。ハンドルバーの幅が広いので、すり抜けは注意が必要。

 

高速走行

高速走行は辛いです。スピードも出して出せない事はありませんが、いくらスムーズとは言っても所詮シングル。高回転まで回せば振動がひどくて不快です。カウルもあって無いようなもの。風防効果はそれほど期待できません。ビッグバイクとは思わず、単なるオフ車と考えれば仕方ないところでしょうか。僕の場合は距離を走っているのと、オフ寄りのタイヤを履いている事もあるので調整とタイヤの選択で多少改善出来るかもしれません。アフリカツインの風防効果やエンジンのスムーズさ、スーパーテネレの圧倒的なパワーには到底太刀打ち出来ないジャンルです。免許が無くなる心配をしないで済むのが救いでしょうか。

ハイギヤード化と排気量アップは、主に高速巡航性を上げたかったからでしょう。750に比べれば、800は若干のパワーアップとハイギヤード化で多少はマシかも。2気筒が主流となり、ハイパワー&ハイスピード化した当時のパリダカでDRが苦戦を強いられた事は、容易に想像できます。

 

ワインディング

モッサリとした外見とは裏腹に、意外にワインディングも楽しめます。ロードバイクよりは軽快で、オフロードバイクにしては安定している感じ。パワーはそこそこですが車体も決して軽くはないので、速度が乗る場面では多少物足りないかも。ビッグシングルはフラットトルクで走りやすいものかと思っていましたが、低回転は非力で使えず高回転は振動がひどくて挙動が激しいので使えず、楽しく使える回転域は案外狭いです。重量も決して軽くはないし、パワーもそこそこで、オフタイヤ装着の場合はタイヤも当てにならないので絶対的な速さはそれ程でもありません。

 

ダート

僕が頑張って林道を走る程度なら全く問題ありません。あえて難点を言うなら重量があるのと、サスペンションの性能があまり良くないのでジャンプやギャップ、激しいアップダウンは避けた方が無難。獣道のようなトレッキング的な所も重過ぎてダメ。コーナーリングも、車体の重さから250クラスのように寝かせて一気に曲がる事は出来ません。車体は立て気味にし、アクセルによるスライドコントロールで向きを変えると良いのですが、それが出来れば苦労しないって(-_-;)  淡々と走るなら良いのですが、積極的に荷重移動をしようとすると、ビッグタンクが妨げになります。いくらハンドルが切れると言っても林道でのUターンは苦手。少しでも勾配や凸凹があると人力で押すのは至難。

最新のオフ車と比べるとスピードも走破性も話になりませんが、慎重なライディングをせざるを得なかったり(速度が遅いのでコケてもダメージが少ない)、林道の奥の奥まで入ろうという気にならなかったり(戻って来れない状況にならない)、大したダートじゃないのにド真剣になったり(近所の林道でも走り応えがある)出来るので、考え方によっては一般的なオフ車より楽しめるかもしれません。

しかしこれらは全て「オフ性能の高い最新トレールに比べたら」の話。ハードな使い方をする一部のユーザーを除けば、林道ツーリング程度ならノーマルでも充分な性能だと思います。ダートまでの移動や燃料の心配を考えると、市販250クラスより余程マシかもしれません。軽量にする為にポリ製タンクやアルミタンクに替えたり、サイレンサーを交換したり、グレードの高いサスに替えたりするとより楽しめそうですが、マイナー車種の為アフターマーケットのパーツは皆無に等しい状態なので、モディファイは苦労します。

 

タンデム

オフ車なのにシートが広いので、ライダー、パッセンジャー共に快適です。グラブバーはありませんが、リヤキャリアが代わりになるので安心感があります。タンデムステップもラバーコートした比較的大きな物で、膝の曲がりもきつくありません。シート高さえ慣れれば、かなり快適ではないでしょうか。ライダー側も姿勢が楽なので負担は少ないです。キャリアも大きくフラットで、フックを掛ける所も多いので積載性も良好。ただ、車高がかなり高いので、先にタンデムライダーが乗ってしまうとライダーが跨げません。荷物やタンデムライダーに蹴りを入れない様に注意する必要がありますし。また、ただでさえ重量があるバイクにパッセンジャーが跨るとかなり不安定になるので、走り出すまでは倒さないようにバランスを取るのに神経を使います。

 

総合評価

パリダカ・レプリカと言うと超スパルタンで手におえない感じを想像してしまいますが、長距離を疲れずに走れるライダーに優しいバイクです。特にロングツーリングでその真価を発揮するでしょう。舗装路とフラットダートが混在するような場所では最適の1台と言えます。ロングに限らず普段のツーリングでも楽です。ちょい乗りからロングツーリング、ダートから高速走行まで、あらゆる場面をそつなくカバー出来るオールマイティなバイクです。ただし、それは「可も無く不可も無く」とも言え、言い方を変えれば「飛び抜けて良い所が無い」とも言えます。自分の用途がすごく限られた人には向かないでしょう。

しかしこのオールマイティに楽しめるバイクがヒットしないのは、本当に勿体無い。外見は取っ付きにくいですが、実際に使ってみるとその良さが分かると思います。それもちょっと走った位では分からないもの。走り込むほどに良さが実感出来るバイクです。

 

オマケ

91年にフルモデルチェンジした後期型。外装の質感がアップしていますが、初期のイメージはそのまま。サイレンサーが2本出しとなり、リヤ周りはかなり見た目が違い、迫力もあります。その他にもキャブレター、フロントブレーキ、フロントフォークなど、一見分からない様な細かな所も変更されています。オンロードでの高速性能アップが変更の主な目的のようですが、フロントフォークのサイズアップ等、ダートライディングにも有効な改良がなされており、タンクキャップやハンドルロック等の普段良く使う部分の操作性も向上しています。

初期型(88年式)の乾燥重量179kgに対し、91年式以降の後期型では194kgとかなり重量が増えていますが、後期型の排気系には巨大な鉄製チャンバーが装着されているので、社外品のサイレンサーに変更するだけで大幅な軽量化が期待できます。

 

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