FANTIC 247

イタリア製のトライアルマシン。

かなり手強いぞ。いろんな意味で。

machine spec

車名:FANTIC247 (1990年式)  長×幅×高:?×?×?mm

最低地上高:?mm  軸距離:?mm  重量:とても軽い

キャスター:?度?分  トレール:?mm

フレーム:スチール製ダイアモンド

始動方法:キック

エンジン:空冷2サイクル単気筒212cc

ボア×ストローク:?×?mm  圧縮比:?

最高出力:?ps/?rpm  最大トルク:?kg-m/?rpm

キャブレター:ケイヒン

タンク容量:とても少ない

タイヤサイズ:(F)2.75-21  (R)4.00-18(チューブレス)

 

つまり、ほとんど謎のバイク。

 

modify

元がコンペマシンなので、機能的には問題ありません。

というか、それどころじゃない。

 

全般

軽い。小さい。両足ベッタリ。女性でも楽々?

運転するだけなら、誰でも出来ると思います。でも、これはトライアル車全般に言える事ですが、普通のバイクの様には運転できません。座って運転することを考えて作られていないので、シートに座ると妙に窮屈なポジションになります。2、3速を使わないとまともに発進すら出来ないし、シフトチェンジも普通には出来ません。加えて、この247は元々コンペマシン(競技車両)で保安部品は後から追加されている様で、ウインカースイッチが操作しにくかったり、ハーネスがまとめられていなかったり、ガソリンタンクは3リットル程度しか入らなかったり、燃料は混合ガソリンだったり、タンデムどころか1人で乗るだけでも苦痛だし、ほんのわずかな荷物すら積めず、つまり、限られた用途に特化したバイクなので、普段ツーリング等に使うには明らかに不向きです。これだけ「走ることだけ」しか考えられていないトライアルマシンは、イタリア製のロードバイクよりも遥かにスパルタンで、操作に限らずあらゆる事をライダーに要求してきます。

 

街乗り

軽い。小さい。取り回しは最高。

先の通り、普段使うには不向きであって、街乗りにもとても適しているとは言えません。が、細い路地や、土手や階段、歩道橋、渋滞している車の上を走れるので、テクニックと考え方次第では最高かも?

ただ、メインキーは無いし、タンクキャップにもカギがありません。ハンドルロックは有りますが、前オーナーが鍵を持っていなかったので僕のFANTICはロックできません。それほど市場価値が有るとも思えませんが、大人が2人居れば持って行けるので、盗難には気を付けた方が良さそうです。

 

高速走行

法的には高速道路は問題なく走れます。僕的には高速道路は走れません。路側帯なら走れるかもしれませんが、SAの給油ポイントまでたどり着けないかも。スピードが出ない訳じゃないです。ファイナルを変えればそれなりに速度は出せますが、今度はトライアル走行に支障が出ます。速く走るのが目的ならば、トライアルマシンを選ぶべきではありません。

 

ワインディング

タイトなコーナーが連続する様な所なら楽しいかもね。でも、舗装路を走るのはタイヤがもったいないです。

 

ダート

状況が悪くなるほど本領を発揮するでしょう。本領を発揮させられるかは分かりませんが。僕は発揮させられないので良く分かりません。トライアルの真価が発揮されるのは、普通のオフロードバイクでは走行困難な状況になってからです。

 

タンデム

出来ません。法的に出来ないという以前に、2人乗ったら壊れそう。というか、1人でも辛い。

 

総合評価

FANTIC以外のトライアルマシンはまともに乗っていないのと、評価するだけの技術や知識が無い事、さらにかなり酷使された状態なので、本来の性能を発揮していない可能性も高く、正当な評価のしようがありません。

ツーリングも用途に含めるなら(公道を走る機会が多ければ)、日本の公道を走る事をちゃんと考えて作ってあって、メンテナンスの面でも安心出来る国産車を選んだ方が良いのですが、生憎今現在国産のトライアルマシンはありません。中古車ならば過去のモデルが比較的安価で手に入りますが、ショップの話では「初心者ほどなるべく高年式のちゃんとしたマシンに乗った方が良い」という事でした。古いバイクと今のバイクでは基本設計が異なっており、扱いやすさが全然違うということです。また、古い中古車だと正常に機能させるだけでも結構な費用が掛かるケースも少なくはありません。ただでさえ難易度が高いトライアルですから、競技レベルを視野に入れなくとも、余計な所で苦労せずに楽しめる分、新しいマシンの方が良いということでしょう。

新しいマシンは良い。そんな事は分かっています。でも、現実的に最新のマシンが購入出来なければ、トライアルを始めることすら出来ません。古くて、調子が悪くて、扱い辛いマシンでも、それを承知の上でとりあえずトライアルが出来ればそれで良いじゃないか、とも思います。

正規代理店や流通経路がしっかりしていないFANTICはメンテナンスに困りますが、部品は意外に安かったです(ショップで買っていないからかも?)。FANTIC247も、当時としてはかなり高く評価されていたようなので、メンテナンスに自信があり、競技レベルを望まないのであれば往年の名車に乗ってみるのも一興かもしれませんが、上記の理由で誰にでも勧められるトライアルマシンではないと思います。

 

詳細

バッタみたいですね。

15年以上経っているので今となっては古臭いデザインですが、

当時としては相当本気な造りです。

前から見ると細っ!。

右サイド。

キックアームは前に回転する独特なもの。

走行に必要な最低限の物以外何も付いてません。

ナンバープレートよりも細いですね。

保安部品は後から追加したみたいで、

取って付けた様な物です。

フロント周り。

フォークはマルゾッキ製の倒立。

圧側と伸側を左右のフォークでそれぞれ独立して受け持つ

ちょっと変わったフロントフォーク。

フォークにオマケの様なスピードメーターが。

小さいくせに結構重い。しかもトリップメーターが無い。

不便なのでサイクルメーターを付ける予定。

ブレーキはBremboの対向2ポッド。

キャリパーは、フロントもリヤもほとんど同じみたいです。

ブレーキラインはステンレスメッシュホースが使われています。

212ccの空冷2サイクルエンジン。

排気デバイスを持たないとてもシンプルな構造。

速度を出さない使い方をする為か、

冷却フィンが異様に大きいです。

シリンダーはメッキシリンダー。

クラッチカバーには誇らしげにMAGNESIUMというステッカーが。

当時軽量化として考えられる事は全てやってあるといった感じ。

キャブレターはケイヒン製。

元々はデロルト製のキャブレターだったみたいですが

詳細は分かりません。

フレームはスチール製のダイアモンドフレームの様な構造。

シートカウルと一体になったリヤフェンダー。

フェンダーに張られた247というシールで、

かろうじてFANTIC247だと判別出来ます。

(排気量の違いで、307と247があるそうです)

シートと呼べるのか分からない様なペラペラなシート。

一体物のフェンダーは、ビス4本で外れます。

それを支えるのは、アルミ製のサブフレーム。

タンクはアチェルビス製のポリタンク。

ガソリンは3リットルくらいしか入りません。

なので、舗装路走行でも40〜50kmが限度。

フェンダーにうっすらとWorldChampionというステッカーが。

コレに乗れば、当時の世界チャンプと同じ走りが出来る?(腕次第で)。

アルミのスイングアームに小ぶりなアルミサイレンサー。

コストを惜しまない軽量化がなされています。

リヤサスペンションはマルゾッキ製のボトムリンク式。

リヤホイールはチューブレス構造。

世界チャンピオンは伊達じゃない?

ハンドル周り。

メーターどころかワーニングランプすらありません。

ウインカースイッチは、キルスイッチの代用品。

交差点を曲がるだけでもテクニックを要します(笑)

コンペやコース走行ではなく、ツーリングトライアルもしくはトレッキングの様な使い方がメインなので

ミラーを両側に付けたのですが、ブレとステーが短くて見えません。

元々無かった保安部品の影響で、ごちゃごちゃになったハーネス。

なんせ全く無駄が無い構造なので、

ちょっとしたハーネスを収めるスペースすらありません。

トラブルの要因になりかねないし、

今後の課題です。

タンクには謎のステッカーが。

何だろう。目かな? イタリア人の感性は良く分かりません。

オレンジ&ホワイトのボディはキュートですが、

見た目より遥かにスパルタン。

 

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