『トランスポーター』って一体何!?
大げさに聞こえるけど、単なるバイクを運ぶ車のこと。
レースや練習時の車両運搬はもちろん、大きな買い物にお引越し、
車検切れ車両の運搬、故障車の引き上げ、子供会の廃品回収、etc・・・
あれば便利な貨物車両なのです。
僕のトランスポーターは、ダイハツのハイゼット。トランスポーターと言うと聞こえは良いけど、要はただの軽トラ。トランポとしての機能はもちろん、乗り心地や室内の積載性、快適性、安全性等、どれを取ってもお世辞にも良いとは言えませんが、唯一維持費の安さはだけは格別です。所帯持ちにとって「家計を圧迫しない」というのは第一条件。トランポは必然的に軽トラ。お父さんにとっては頼みの綱なのです。 |
ダイハツ ハイゼット スタンダード2WD(平成6年式)
machine spec
型式:V−S100P−TMRS
エンジン形式:EF−NS型G(水冷4サイクルOHC4バルブ直列3気筒)
排気量:659cc 圧縮比:9.5 最大出力:42ps/5700rpm 最大トルク:5.6kg/4500rpm
車体寸法(長×幅×高):3295×1395×1740 ホイールベース:1900
トレッド:F1215 R1220 最低地上高:160 床面地上高:665
荷室寸法(長×幅×高):1940×1330×280 車両重量:670kg 乗車定員:2名
最大積載量:350kg 車両総重量:1130kg 登板能力(tanΘ):0.47
最小回転半径:3.8m
ブレーキ:(F)ディスク (R)ドラム・リーディングトレーリング
タイヤ:(F)5.00−12−4P (R)5.00−12−4P
極普通の軽トラです。以前は日産ダットサントラックのダブルキャブを使っていましたが1年車検で費用が掛かる為、軽自動車に変更。 その際「ダットラと交換」、しかも「エアコン付き」という無茶な条件だったので、当然程度それなりの中古車です。軽規格(排気量)が変更になった後のモデルなので、エンジンは660cc。それに5速マニュアルの変速機が組み合わされます(5速と言っても1速のギヤ比が低過ぎて荷物満載時にしか役に立たないので、実質4速ですが)。実用車用のノンターボエンジンですが、もともと車体が軽量なことと、5速ギヤも手伝って、そこそこ軽快に走ります。ちなみに高速道路は意外に快適。もともと大してスピードが出ないので80〜100km/hあたりで走るのが一番快適なのですが、高速道路でその速度域より遅い車はほとんど居ません。周りの車がみんな抜かして行くので自分の前が詰まる事が無く、ずっとマイペースが維持できるし、路面も継ぎはぎが無いし、苦手な発進加速を繰り返す事もありません。 入手時には既に走行距離6万kmを越えていましたが、今の所重大なトラブルはありません。基本的なメンテナンスを怠らなければ意外にタフなようです。余計な物が一切付いていないので、壊れるような所が無いとも言えますけど。車体はコンパクトそのもので、ほぼ四角形な車体は前後左右の見切りもよく、狭い路地や駐車場でも難なく操作できます。ただ乗り心地は最悪で、ちょっとした路面の凹凸でもボヨヨ〜ンと上下に揺さぶられます。荷台に荷物を積載することを想定してサスペンションが固められているのは当然のことですが、運転席が丁度フロントタイヤの真上に位置するため、路面の凹凸がもろにドライバーに伝わるのが原因と思われます。 そして一番のデメリットは「衝突安全性」。前方に衝撃を吸収するスペースが皆無なので、ちょっとした衝突でも怪我は避けられそうもありません。簡単に死にそうです。正に走る棺桶。軽規格が変更になり車体寸法が若干大きくなったのに伴い、最近の軽トラは前方にクラッシャブルゾーンを設けて衝突安全性を高めています。さらにフロントタイヤを極限まで前方に押しやっているので、居住性や乗り心地も多少は改善されているかもしれません。予算に余裕があるなら、迷わず新規格後モデルを選びましょう。しかし、軽トラの中古車はその落差が激しく、新古車状態の高価格車かボロボロの低価格車に分かれてしまいます。基本的に乗りつぶす車なので中古で安くて良い物を探すのは案外難しく、軽自動車は全般的に割高です。普通車の1BOXバンは比較的安価で手に入る事を思うとかなり割高な気がしますが、イニシャルコストを優先するかランニングコストを優先するかは、自分の経済状況次第。ちなみに新車でエアコンレスなら55万円くらいからあります(諸費用別)。エアコンを付けるとプラス15万くらい。エアコン装備と4駆にするとビックリ価格になります。 この年式では僕の所有するスタンダードの他に、「天晴」と「CLIMBER」というグレードが有ります。天晴(あっぱれ)はツインカムエンジンを搭載する上級グレード。CLIMBER(クライマー)は超低速ギヤを持つ悪路走行が可能な物。ツインカムエンジンといってもターボエンジンのように性能が激変する訳ではないでしょうが、スタンダードよりももう一伸びしてくれるかも。クライマーなら林道で落っことしたバイクを引き上げに行くのも楽かも? 一口に軽トラと言っても各メーカーから色々出ています。軽トラに乗ってると「何で軽トラに乗ってるの?」とか「実家が農家なの?」などと良く聞かれます。話題のきっかけ作りにも一役買ってくれることでしょう。
なお、軽トラックについて詳しく知りたい時は、下記サイトがとても参考になります。 軽トラック研究会 http://www.hinanet.ne.jp/~k-truck/
ハイゼットトラック。HIJETだから正確にはハイジェット? 欲を言えばブルーが良かったんですが、中古でそこまで条件をそろえるのは無理。 超小回りが効くのに前オーナーがぶつけた跡があちこちにあります。何故? ダットラも良かったけど、軽トラもちっちゃくて案外カワイイ。 最大の難点は安全性。 ダイハツ・ミゼットなら、ちょっとオシャレで良いかなと思ったんですが あの荷台では小さ過ぎるし、あおり戸も開かないので、肝心のバイクが積めません。
リヤビュー。荷台の扉は全部開く3開放。取り外す事も出来ます。 小さくて安っぽくても機能的。 軽でも荷台はダットラより広いです。DR−BIGも載ります。 高さも低いので、バイクの積み降ろしも楽。 と言うより、クロカン4駆の荷台が高過ぎるんですね。 雨が降ると濡れるのが困りますが、幌を付けるのも一つの手。 自作で組立式の幌を作ろうと考えたんですが、レースでの使用頻度が減ってしまったので手付かず。
キャビン後、荷台前方にフタがあります。
フタの中にはエンジンが。 最近の軽トラはミッドシップマウントなのです。 660ccのエンジンが縦置きに納まります。 ちなみにホンダはミッドシップに横置き、スバルはリヤに横置き。 外観は大して変わりませんが、メーカーの考え方が現れて面白いです。 フタを留める8本のボルトはステンレスに変更し、 工具無しで開けられるようにボルトの頭にノブを付けています。 が、滅多に開けないので効果薄。
車体右サイドにある四角い物はエアコンの放熱器。 ここにこの黒くて四角い物が有るか無いかで快適性が激変。 普段も使うんだからエアコン無しの車なんか乗ってられねー。 この頃の軽トラの中古はエアコン装備率が低いので、これは掘り出し物でした。 ダイハツはこの頃までホイールの取付ボルトのピッチが他メーカーと異なってます(110mm)。 加えて、貨物車両は貨物用のホイールと貨物用タイヤでなければ車検が通りません。 社外ホイールに変更する時は注意が必要。
軽トラの室内。 ウッドハンドルはダットラの忘れ形見。 衝突安全性を考えると、純正のウレタンハンドルの方がマシかも。 室内は極めて狭く、乗車時にはよく足をぶつけます。 シートはリクライニングしません。 2人乗ると、荷物を置くスペースが無いのも困りもの。 運転席前には鉄板が一枚あるだけ。おのずと車間距離が開きます。 軽新規格になって、衝突安全性が向上したようです。 一般乗用車とは比べるべくもないですが、何も無いよりは断然マシ。
座席を跳ね上げると、オイルゲージやベルトが出てきます。 一般的な1BOX車と同じ構造。 簡単そうですが、案外面倒なので頻繁に開けません。 ジャッキもここにあります。
インパネ周り。タコメーターは付いてません。 オーディオはラジオのみだったので、カセットを購入。 通常Aピラーについている乗車グリップや助手席のサンバイザー、 助手席側のドアの鍵穴等、コストダウンのために省かれてます。ちょっと不便です。 もちろん窓ガラスはマニュアル開閉式?で、ドアミラーも手動調整式、ドアロックも手動。みんな手動。 ステアリングにパワーアシストは付きませんが、ハンドル操作は重くないです。 ワイパーは間欠動作が出来ないので、小雨の時はマニュアル間欠ワイパー。 塗装も乗用車とは異なるようで、比較的新しいのにつや消しになってます。 あちこちに、涙ぐましいコストダウンの成果が見られます。 全て自分の手でやらなければいけないので面倒ではありますが、 自動化されて自分の思う通りに動かせないのはもっと苦痛。
非力な軽のマニュアル車ですから、タコメーターは必須でしょう。 と、いうことで、オプティの純正オプションのタコメーターを追加してみました。 社外品よりも違和感無く取り付け出来るかも、という理由で選んだのですが オプティのインパネにピッタリ合うように設計されているので余計に違和感が? とりあえず動作確認して後日綺麗に設置するつもりですが、多分永遠にこのまま。 このハイゼットはキャブレター仕様なのでECUが有りません。 回転信号はイグニッションのマイナスから取っています。
バイク積載時。 荷台に対して斜めに乗せれば、例えビッグオフでもスッポリ収まります。 真っ直ぐにすれば2台積載も可。その場合は後のあおり戸は閉まりません。 最大積載荷重は350kgですから、DR−BIG(200kg強)を載せても幾分余裕があるはず。 当然のことながら、荷物積載時は加速がかなり鈍ります。
コスト 軽自動車は維持費が安いと良く言われます。 では実際にどれくらいの費用で済むのか?
自動車税 4000円 毎年春に請求が来る税金。軽自動車は市町村から請求が来ます。ダットサントラックで16000円くらいだったと思います。それが軽トラだと大型バイクと同じ金額なんだよね。軽が安いのかバイクが高いのか・・・ 軽自動車は特別安いですが、普通のバンやトラックでも乗用車と比べるとそれ程高くはありません。
車検費用 6〜8万円 普通車のバンと比べて一番差が出る費用。ダットサントラックでは大体9万円くらいの費用が毎年掛かりました。それが軽トラなら半分以下で済みます。費用に幅が有るのは業者によって金額が異なるためで、ディーラー等では高額になりがちですし、ガソリンスタンド等で良くやっている車検代行等では安くなります。整備の質も金額に比例するケースが多いので、単純に金額だけでは判断出来ないところですが、車検時に必ず必要となる法定費用はどの業者でも同じなので、軽と他の車の比較をしてみましょう。 |
車検時の法定費用
軽(2年車検) 普通車(2年車検) ハイエース等(1年車検)
重量税 8,800 37,800 18,900(1年分)
自賠責保険 22,540 27,630 14,400(1年分)
計 31,340 65,430 33,300×2=66,600円(2年分)
トランポとして一般的なハイエースクラスだと、ほぼ軽トラの2倍の費用が掛かりますが、実際には車検の都度(つまり1年毎)に車検のその他の費用(手数料や整備費用等)が掛かってきますので、その差は更に大きくなります。
消耗品 消耗品も総じて安めです。 タイヤ 5000円/本 145R12くらいのサイズ。4駆や最近の軽では13インチが採用されます。貨物車両なので、車検を通すためには貨物用のタイヤ(乗用車用とは構造が違い、強度がある)を使用しなければいけません。それでも安いです。
バッテリー 3000円 自動車用では、ほぼ一番小さいサイズ。ホームセンター等で格安で手に入ります。余計な装備が無い分、消費電力量も少ないです。僕は1サイズ大きくして38を使用していますが、ホームセンター等で3000円で購入。バッテリーの置場には余裕があるので、多少のサイズ変更は問題ありません。
エアーフィルター 1680円 純正品。
スパークプラグ 600円×3本 純正品。ハイゼットは、汚損に強い専用のプラグを使用しているので、ディーラーで購入。車種やエンジン型式で異なるので、合った物を使用します。
今まで使用して掛かった大きなものは上記くらい。エンジンオイル、オイルフィルター等も定期的に交換する必要がありますが、それは他の車に対して特別割安になる物ではありません。オイル使用量は若干少なくなりますけど。 さて、この金額を見ると、ほぼ車検付きバイクと同じくらいの費用になります。バッテリー等の消耗品はバイクに比べればかなり安く済みますし、雨風しのげてエアコン付き。その上音楽まで聞けて荷物が沢山運べます。大型バイクを2台所有するなら、バイクと軽トラというのも悪くないかも。
トランスポーターを考える 軽トラは確かに安上がりなトランポの一つです。 でも維持費の安さの代償も少なくありません。 もっと良いトランポは無いの?
バイクでレースをやったりコース走行したりするには、どうしても運搬車両が要ります。レースをやらなくても、例えば子供用のキッズバイクで遊ばせてあげようとした時に、バイクを運べないのでは無理というもの。バイク生産、自動車生産では世界トップレベルにある日本なのに、バイクを運搬する為の専用車両は売ってません。平日は通勤や買い物に、休日はトランスポーターとして使える機能的でかっこよくて安全で経済的な車があっても良さそうなものです。モトクロッサーやロードレーサーは売るけど、運ぶ手段は勝手にしろというのも変な話です。まぁそんな無い物ねだりをしていても仕方が無いので、今現在手に入れられるもので代用するしかありません。
1 1BOXタイプのバン もっともポピュラーなケース。屋根があるので天候に左右されないし、用品が落ちたり盗まれたりする心配も少ないです。ハイエースクラスなら250ccクラスのオフロードバイクが2、3台積めますが、ライトエースクラスでも1台なら充分。軽自動車の1BOXタイプの荷室も案外広いのですが、250クラスを積むには工夫が必要になります。バイクを載せない時には巨大なスペースがあるので、アウトドアや引越しのお手伝い、大きな買い物にも便利。ただ、1BOXバンのネックは維持費が掛かること。貨物車両なので、毎年車検受けなければいけません(軽自動車除く)。しかし貨物車両は乗用車と比べて税金が安いので、長い目で見ればトータルの費用はさほど変わらないようです。以前に比べたらだいぶマシになりましたが、そもそも商用車なので無骨でそっけないのは仕方有りません。贅沢を言わなければ安い中古車が沢山あります。我慢すればガレージにもなる!? 2 乗用車を利用 例えばホンダのステップワゴン等なら、座席を畳んだり取り外したりしてバイクを積む事が出来ます。これならファミリーカーとしての機能は十分なので、家族の了承も得られやすく、維持費も普通乗用車なので並。この場合のネックは乗用車なので室内が汚れると困ること。バンのように壁や床部分が鉄板やビニール素材ではないので、泥汚れなどが付きやすく、掃除がし難いです。バイクを載せるのために座席を外したりするのも面倒。特に小さな子供が居るとチャイルドシートの脱着も加わり、さらに面倒。 3 トレーラー 乗用車の後部にヒッチメンバー(牽引フック)を取り付けて、運搬用のトレーラーを引っ張るというもの。バイクの他にジェットスキーやレジャーボートを積むタイプなど、種類は豊富。ただ、レジャー用のトレーラーといっても公道を正式に走るにはナンバーを取る必要があります。機関部を持たないので、メンテナンスに費用が掛かったり、壊れる心配はほとんど無し。使わない時は畳んで立てて置けるタイプならかなりコンパクトになりますが、それでも置いておくだけのスペースは必ず必要。いくら小さなトレーラーといっても、運転する時は慣れが必要です。また、4駆の後にバイクを吊るすという手段もあるようですが、あまり一般的ではないようです。
探せばいろいろある運搬方法。しかし、今まで挙げたトランスポーターに共通して言える事があります。それは「トランポとして使う時は占有してしまう」と言うこと。例えトレーラーにしても、トランポとして使う時は車を使わなければいけません。独身で自分しか使わない場合であるとか、妻帯者でも奥さん用のセカンドカーがあれば問題ありませんが、家族で使う車の場合はトランポを使おうにも家族の都合に左右されてしまいます。パッと積んでパッと降ろせる、自分専用の、自分が好きな時に使える、極力お金が掛からないトランスポーター。僕が軽トラを選んだ理由はそこにあります。 |