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DR800Sのエンジン再々々々修理

05年7月

ふっかつ の じゅもん が ちがいます

・・・(T0T)

原因の調査

結論から言うと、前回の修理では直りませんでした。その後更にもう1度修理しましたが、それでも直りませんでした。この辺の経緯は今までと同じ事の繰り返しなので省略するとして、不具合の症状を見極める為に、煙を吐きながらも走らせ続けた結果、ある事に気がつきました。それは、「始動時に煙を吐かない時もある」ということ。今まで不調の原因と考えていたバルブステムシールが悪いのであれば、煙が出たり出なかったりと症状にバラつきが出たりせず、絶えず煙が出るはず。つまり、原因はバルブステムシールではない、ということです。

もう少し具体的に書くと、修理後、3、4回乗った時点(距離にして200km程度)では、始動時の煙はほとんどありません。その後いきなり始動時にものすごい煙を吐く様になりました。また、エンジンが温まった状態では煙は出ないし、スロットル全開でも全閉でも出ないし、停止後10分程では間を置いて再始動しても煙は出ません。ここまでは、今までと同じで、今までは異常な煙を確認した時点で再度修理に取り掛かっていたのですが、今回はさらに症状を詳しく確認する為にそのまま我慢して乗っていると、始動時に煙を全く吐かない時がある事に気付きました。誰が見ても明らかに異常だと分かるほどのすさまじい白煙を吐くのに、それがある時は全く煙を吐きません。

エンジンをかける度に吐いたり吐かなかったりするという事は、エンジンを始動する際に何か条件が異なる所があり、そこに問題があるのだと思われるのですが、始動時に変化する条件として思いつくのは、カムシャフトの位置。エンジンを止めた時にカムシャフトがどの位置で止まるかは一定ではないだろうし、カムシャフトの位置が変わるという事は、=バルブの開き具合も変わるはずです。つまり、エンジンを止めた時のバルブの状態が、次回エンジンを掛けた時に煙を吐くか吐かないかを決定付けるのではないか、と予想し、走行後エンジンを止めた時に、クランクケース左側のタイミングマークからその都度バルブの位置を決めて、条件によって症状が再現されるかどうか見てみることにしました。結果、圧縮上死点では煙を吐く、吸気下死点では吐かない、つまり、

吸気バルブが閉じた状態 → 煙を吐く

吸気バルブが開いた状態 → 煙を吐かない

という症状がほぼ再現される事が分かりました。排気バルブ側も調べましたが、排気バルブの状態は影響を与えないようです。

なぜ吸気バルブが閉じている(カムシャフト、ロッカーアームがバルブを押していない状態)と煙を吐くのか分かりませんが、症状から推測すると、吸気バルブ周りに何らかの問題が有る様に思えます。前回の修理までに、給排気共にバルブは新品を使っている為、バルブ自体に問題が有るとは考え難く、また、症状が出たり出なかったりする事や、徐々に症状が悪化するのではなく、いきなり極端な症状が出る事から、バルブステムシールのシール不良も考え難いです。カムシャフトやロッカーアームに問題が有るとしても、オイルがシリンダー内に混入する要因とはならない事から、バルブガイドに問題が有るのではないか?と、考えてみました。

 

作業

前置きが長くなりましたが、5度目のエンジン分解作業に取り掛かります。キャブレターを外すと、吸気ポートがオイルで濡れています。インシュレーターや、エアークリーナーボックスにはオイルが付着していないので、内部から出た物と判断出来ます。しかし、バルブステム部分からオイルが入ったとしたら、バルブステムを伝ってポートの穴からシリンダー内部に入ってしまう為、ポート部分に溜まる事はないのでは? 知り合いの車屋さんの話では、「バルブガイド、バルブステムシールの問題じゃないのではないか」という事だったのですが、既にかなりの距離を走ってガイドがヘタっているという事と、トラブルの原因として怪しいという事から、バブルガイドを交換することにします。もしこれでも症状が収まらなければ、少なくともバルブ周りの問題ではないという確信は持てるはず。

バルブガイドの交換作業は、シリンダーヘッドを均一に加熱して行わなければならない事と、バルブガイド交換後にバルブシートカットを行なわなければならない事、それにそれらの作業には特殊な専用工具が必要である事などから、自分で行うよりも専門業者に依頼した方が確実で結果的に安上がりだと判断し、知り合いの車屋さんを通じてボーリング屋に出すことにしました。

シリンダーヘッドが戻ってきた所で、エンジンを組み立てます。5回もやってるので、今更書く事は有りませんが、インシュレーター(キャブレターとエンジンを繋ぐ部品)にひび割れが生じているので、新品に交換しておきます。亀裂は内部まで達していないと思いますが、インシュレーターのせいで直したエンジンの調子が確認出来なくなると困るので、交換しておきます。

バルブガイドも交換し、完全にリフレッシュされた

シリンダーヘッド。

初回のOHで懸念していたけれど、結局は交換することに。

その他

本来はエンジンの修理が一番の目的なのですが、作業のついでに、以前から気になっていたチェーンスライダーの交換を行いました。チェーンスライダーというのは、スイングアームのピボット(付根の軸)付近に取り付けられている、文字通りチェーンがスライドする部分なのですが、これが長い間使っていると擦り減ってしまいます。多少擦り減っても走行には問題ないし、正直エンジン修理で金を使い果たしているので余計な物は極力買いたくなかったのですが、スライダーが減り過ぎて穴が空くとスイングアームまで削られてしまい、結果的により悲惨な状況になりそうです。スイングアームまで傷めてしまう前に、交換しておくべきでしょう。

穴が空きそうなほど限界まで擦り減ったチェーンスライダー。

部品名はバッファー(BUFFER)となってます。

ケチな僕でも、さすがにこれ以上は使えない。

スライダーをケチってスイングアームを傷つけては

本末転倒というもの。

ついでに、リヤサスペンションのリンク部分と、スイングアームピボットのグリスアップ、ドライブチェーンの清掃と潤滑を行いました。ここで一番問題なのはドライブチェーンの動きが渋いという事で、本来なら新品に交換するのが望ましいのですが、先の通り金が無いので掃除して何とか誤魔化そうという算段。チェーンの継手はカシメてあってエンドレスになっていますが、スイングアームまで外せばチェーンを車体から取り外す事が出来ます。外したチェーンを綺麗に洗い、オイルに漬け置きしてみます。幾分動きがスムーズになりましたが、なるべくなら新品に交換したい所。

その他にも、ステアリングステムのグリスアップ、フロントフォークのオイル漏れ、リヤブレーキパッドの交換、フロントブレーキのピストンシールの交換、などなど、エンジンを直した後もやらなければいけない作業が目白押し。15年、7万kmの車体は疲労困憊。ホント、ネタには事欠かなくて涙が出ます。

 

前回の出費

11141-44B01 ガスケット(シリンダーヘッド) 4,350

12912-44B00 エキゾーストバルブ      @2,650×2

09289-07002 オイルシール(バルブステム)  @420×4

12747-44B00 ワッシャ(カムスプロケロック) @120

09241-30004 プラグ(カムシャフトジャーナル) 290

27517-37400 ダンパー(ドライブスプロケット) 430

送料                      600

代引き手数料                  300

計                13,070円

作業の詳細は過去と重複するので省きましたが、掛かった費用は省けません。プラグは、カムシャフトジャーナルのメクラプラグ。今まで再使用していましたが、こびりついた古い液体ガスケットでオイル漏れを起こしても何なので、今回は新品にしました。ダンパーはドライブスプロケット部のリング状のゴム。スプロケットのガタつきが大きくて走行中にカタカタと音がするので新品を買ってみましたが、ガタは変わりませんでした。今後の課題。

結局、給排気バルブを交換しても症状は変わりませんでした。

 

今回の出費

11115−44B70 バルブガイド        @740x4

09381−10003 バルブガイド リング     @70x4

送料                      600

代引き手数料                  300

小計                   4,140

09108-08206 スタッドボルト        @100×2

08316-16108 ナット(シリンダーヘッド)   @50×4

(08316-16108→08316-10107に変更)

13110-44B00 インテークパイプ      @2,300×2

(13110-44B00→13101-44B01に変更)

09280-40010 Oリング           @320×2

12747-44B00 ワッシャー            120

09111-06045 ボルト             @50×2

09289-07002 オイルシール         @420×4

09241-30004 ヘッドプラグ            290

61273-44B00 バッファー           1,800

送料                      600

代引き手数料                  300

小計                   10,530

バルブガイド打替え&バルブシートカット作業 15,000

総計               29,670円

スタッドボルトはシリンダーヘッドとシリンダーを固定する部分の物で、ボーリング屋さんに修理に出す為に、取り外したので新品に交換しました。ナットはシリンダヘッド、シリンダーを締結するメインのスタッドボルトに使うもの。何度も締めたり緩めたりしているので、角が若干傷んできた為、念の為に新品に交換。ボルトは、カムシャフトとカムチェーンスプロケットを固定する為の物。これも何度も繰り返し作業しているので、念の為に交換。取り消し線の付いたOリングはインシュレーター(インテークパイプ)の物ですが、インシュレーターに付属していたので不要でした。ダブってしまい、無駄な出費。バッファーは、チェーンスライダー。その他の物は、以前交換してきた部品と同じです。

バルブガイドの打替え作業は、バルブシートカット作業も含めて、1ヶ所当り(1バルブ当り)3,000円だそうです(仲介業者のマージン含まず)。僕はお礼も兼ねて車屋さんに3,000円のマージンを支払っています。単気筒でよかった。4バルブ4気筒なら48,000円。これだけで悶絶。

純正部品を購入する際は、部品番号と価格を必ず確認して下さい。ここに記載されている情報を参考にされて被害を被っても、当方は一切責任を負いません。

 

で、結局どうだったのかというと・・・?

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