各部詳細

細かい所を画像で紹介。

フロントビュー。

横から見た感じとは違い、かなりスリム。タンクとハンドルバーの幅が若干広いくらい。シングルエンジンのスリムさを生かして無駄にボリュームが無い所は好印象。外観だけならアフリカツインやスーパーテネレ、BMW−R−GS等よりは取っ付きやすいです。バックミラーは社外品。純正はカタナに似た形状の物。

 

特徴的なフロントカウル。

初期型は色付きの樹脂製でしたが、90年式は塗装されていて綺麗。角型のライトはガラスレンズでかなりの重量。でも一般的なオフ車の標準ライトに比べれば充分実用的な明るさ。ウインカーもロードバイクのような大型の物。バイザーが有りますが、風防効果はアテになりません。画像ではGIVIのロングスクリーンが付いていますが、純正品よりは多少はマシ。

 

 エンジン周り (ビフォー ノーマル状態)

アフター  OH時に塗装しました

80psのR仕様エンジン(っぽい)

DR−BIGの心臓部は市販車世界最大排気量シングルエンジンで有名ですが、他メーカーはせいぜい660〜680cc辺りなので、シングルエンジンとしての限界はその辺りが最もバランスが良いのかも。750は800に比べて回転型で、800はトルク型と言われているようですが、800でも低速でトルクフルという印象は受けません。元々が輸出用車種だから仕方ないのかもしれませんが、タイトなコースやスリッピーな路面には向かない印象です。低速では粘らないし、2軸バランサーと言っても驚くほどスムーズと言う訳でもないし、個人的にはホンダXRのエンジンフィールの方が良かった様に思います。

細かく刻まれた冷却フィンが、スズキのお家芸である油冷エンジンを彷彿させますが、油冷と言っても基本的な構造は空冷で、ホンダのRFVCヘッドやヤマハの5バルブのような特徴的な機構は無く、オーソドックスなSOHC4バルブ。最新4stシングルに比べたら比較にならないほど大きく重たい上に非力です。エンジン単体重量は、KTMのLC8(V型2気筒)やホンダのCBR600RR(並列4気筒)などとほとんど変わらないし、今なら400ccシングルで同等のパワーが出ています。つまり、エンジン自体には排気量以外に特に見るべき所は有りませんし、その「排気量」も充分に生かされていない印象を受けます。でも、なんとなく楽しいから良いじゃないの。800ccで50馬力そこそこなんて、考え様によっては贅沢なバイクでしょ。

排気はシングルポートなので、エキパイは1本出し。かなり太めですが、鉄製なのでよく錆びるのが難点。純正でアンダーガードが着きますが、貧弱な樹脂製で強度的には心もとないです。飾りと言っては何だけど、無いよりはマシ程度。なんせ社外品が無いから純正品に頼らざるを得ません。

 

キャブレター。

吸気側は2ポートで、キャブも2つ。スズキでは良く見るミクニのスリングショットキャブ(BST33)が2連装。750でも800でも口径は同じ。当然セッティングは違います。800ではチョークがハンドルの手元で操作出来るようになっていますが、始動時しか使わないからキャブ本体に付いてた方がシンプルで良いと思うんですけどね。性能的には可も無く不可も無くといった感じですが、距離を走ると致命的なトラブルに発展する可能性も?

 

オイルクーラー。

エンジン左側にオイルクーラーが有ります。空冷(油冷)エンジンは油温が命。空冷ビッグシングルは熱的にとても苦しいので、オイル管理にも充分気を配りたいところ。転倒でダメージを受けないようにタンクの内側に装着されています。実際に左側に転倒もしたし、前オーナーも転倒しているけど、タンクは凹んでもオイルクーラーまで致命的なダメージを受けることはありませんでした。シングルエンジンにしては割と大型のクーラーですが、それでも油温はかなり高くなります。DR−BIGのエンジン整備は大変なので、オイルは良い物をマメに交換した方が良いです。

フレームはオーソドックスなセミダブルクレードルタイプ。ガッチリとした剛性感は無いものの、僕のレベルでは特別弱い印象は受けません。が、事故であっけなく壊れちゃいました。

 

シート周り。

ライディングに関わる所は意外にコンパクト。特徴的なビッグタンクも大きくエグレているので、ポジションはそれほど窮屈じゃありません。スタンディング、シッティング共に、重ささえ慣れれば250クラスと変わらないコンパクトさ。比較的体を移動しやすいのでポジションはよく考えられているようです。積極的に動こうとするとどうしても張り出したビッグタンクが邪魔になりますが、ラリーレイドマシンですからモトクロッサーの様な激しい荷重移動をするべきではないのかも。

シートは幅があって快適。本格的オフロードバイクのように、すぐにお尻が痛くなることがないので有難いです。比較的シート幅があるXR600Rでも尻が痛くなったのにDRでは全く苦痛じゃないのは、ネガティブな面が多いビッグオフの中で特筆すべき長所。それでも足付きが250(本格的なオフ車)並なので安心感があります。

ガソリンタンクは、この90年式まで左右2分割式の29リットルタンク。左右分割式ですが、ゴムホースでつながっています。タンクの下端はキャブレターより低くなる為、吸気の脈動を利用した燃料ポンプが付きます。29リットルはロングツーリングには有難いでしょうが、普段使うには明らかにデカ過ぎ。かと言って少ししか入れないと中が錆びる。その上タンクキャップにはカギが無く、開閉時にはエアーブリーザーのホースが邪魔になり、キャップが2つ有るのでガソリンスタンドで「両方とも入れるんですか?」と、毎回尋ねられるので不便。後期型ではタンクは容量24リットルの一体型に変更され、エアープレーンタイプのスッキリとしたキャップになっています(当然カギ付き)。ラリーでもやらない限り、タンクの大きさは後期型のサイズで充分だと思うのですが、アルミかポリタンクだったら良かったのになー。

 

テール周り。

前期型は、普通のオフ車らしいテール周り。テールランプやフェンダー付近の処理は古臭い感じがするものの、それも年式相応の味わい深さを感じさせて変更する気になりません。キャリアはアルミのキャスト製で、しっかりとした作りでシートとの段差も無いので使いやすく、サポートグリップも有る為、ヘビーマシンには便利な装備。

純正サイレンサーは特徴的なセミダウンタイプ。なぜセミダウンなのか?というと、ラリーマシンでは後部側面に燃料タンクを増設する為、邪魔にならないように。というのを雑誌の記事か何かで読んだ覚えがありますが、ラリー云々よりも荷物やタンデムライダーと干渉しにくいのは利点ではあります。鉄製なので錆びて壊れると困るので社外品を流用して変更しましたが、あまりにうるさいので結局純正品に戻してあります。

タンデムステップはちゃちな作りですが、大きめな物が割と下の方に設けてある為、広めのシートと相まって本格的なオフ車に比べたらタンデムは遥かに快適です。が、ロードバイクに比べるとシートがかなり高いので、乗り降りが大変。

FMFのXR400R用サイレンサーを加工して装着したところ。

皿の枚数を減らしたり、消音バッフルを追加したりしましたが、

元々が競技用のサイレンサーなので爆音。

スロットルレスポンスが俊敏になるので気持ちが良いのですが、

走行中絶えず周りに気兼ねしてしまうので純正に戻してあります。

サイレンサーの詳細はこときちのメンテナンスで。

 

フロント周り。

舗装路での快適性の為にインチダウンせず、21インチなのは好印象。ダウンフェンダーですが、オフ用ブロックタイヤでも装着出来ます。

片押し2ポッドのブレーキの効きはかなり貧弱。また、ステンメッシュのブレーキホースに変更されているものの、レバータッチもフニャフニャでカチッとしたフィーリングとは程遠いです。後期型ではブレーキラインを一部鉄製配管にしているところを見ると、かなり不評だったのでしょう。レバータッチも含めて性能を向上させたいなら、ブレーキ周りをアッセンブリーで交換する必要がありそうです。しかし、アフリカツイン等がダブルディスクを採用する中、あえてシングルディスクなのはバネ下荷重の低減によるメリットうんぬんと言いつつ、何よりランニングコストが安くて貧乏人には有り難かったりするのですが、パッドの減りの早さが尋常ではないので(3000km毎)結局は一緒かも。

サスペンションは極普通の正立サスでカートリッジタイプではなく、性能もそれなり。フォーク径は結構細くて頼り無さそうですが、ぶつかったらフォークが曲がらずにフレームが壊れてしまったので、意外に剛性が有る様です。CRMと比べるとかなりフォーク(キャスター角)が寝ています。

ガード類は全て純正品。貧弱とはいえ、フォークガード、ディスクガード、アンダーガードが一通り付いているのでダート走行するには重宝します。後期型ではフロントフォークのガード類が簡素化されています。舗装路オンリーなら無骨なガード類は野暮ったいし、整備や掃除でも邪魔なだけですが、ダート走行するならしっかりしたプロテクターを装備した方が無難。

リムは以前不注意から凹ませてしまったので、RKエキセルの物に変更しています。先代のDR750Sの物ですが、互換性があるので流用したもの。ただ、リヤは互換性が無いのでフロントのみ。リム交換の詳細はこときちのメンテナスで。

 

リヤ周り。

リヤホイールは17インチ。17インチでも案外タイヤの選択幅は広く、本格的なオフタイヤも選べます。が、CRMなど(18インチ)とは互換性が無いので思い切ったオフ寄りのタイヤやモトクロスタイヤは履けません。

初期型のドラムブレーキから、ディスクブレーキに変更されています。ドラムブレーキの効きは良かったけど、このディスクブレーキもかなり効きは良いです。フロントブレーキがプアーな分、リヤの効きは頼もしいし、積極的なライディングにも有効。

一応リヤサスはフルフローター・サスペンションと呼ばれるリンク式となっていますが、ダンパーユニットはリザーバータンクを持たないオーソドックスなもの。純正のダンパー部分にはカバーが付いていいます。砂やゴミが噛んでダンパーロッドのシールを傷めるのを防ぐ為みたいですが、本格的なダート走行を想定しての事でしょうか? 耐久性を考慮してくれるのは大変有難いのですが、リザーバーを持たないタイプなのでサスペンションユニットのオーバーホールはほぼ不可能で、故障や消耗した際はASSY交換となります。そこでやむなくオーリンズのショックユニットに換装してあります。

センタースタンドはDR−BIGのメーリングリストでドイツから個人輸入してもらった物。ロードクリアランスの問題は有りますが、DRは最低地上高も低く、重量も半端じゃないので、普通のレーシングスタンドでは持ち上げられません。作りもしっかりしていて整備には本当に重宝しますが、足で踏ん張るアームが無いのでスタンドを掛けるにはコツと気合とパワーが必要。

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